入社2年でリーダー、先輩の提案却下も。“ニッチ”で勝負する宮崎のエア遊具レンタル会社の、新商品生み続ける社風

AI要約

宮崎市にある「ワン・ステップ」というエア遊具レンタル会社が急成長している。社長の山元洋幸さんは、将来の組織のあり方を考え、後継者育成に注力している。

山元さんは社員とのコミュニケーションを大切にし、社内の意見を尊重する風土を築いている。新型コロナ禍での対応でも社員に大きな責任を任せるようになっている。

会社の若手社員である柳田匠さんは、医療用陰圧室の開発を成功させ、さらなる新規事業の開拓に取り組んでいる。

入社2年でリーダー、先輩の提案却下も。“ニッチ”で勝負する宮崎のエア遊具レンタル会社の、新商品生み続ける社風

空気で膨らむ「エア遊具」の新商品を次々と市場に投入し、今や“国内最大級”とされる約800アイテムをそろえて成長を続ける会社が宮崎市にあると聞き、取材しました。社員は約30人、平均年齢が20代後半というこの会社の開発力とスピード感の背景には、「社員・スタッフ」を前面に出した経営理念と社内カルチャーがあるようです。社長と社員のみなさんに尋ねました。

宮崎市のエア遊具レンタル会社「ワン・ステップ」。2022年に創立20年を迎えました。社長の山元洋幸さんはすでに20年後の会社の姿を思い描いています。「私が65歳になって社を去っても、成長を続ける組織であってほしい」と言います。

山元 「今はまだ、社長の発言力が大きい。私が口を出せば決定事項も覆ってしまうでしょう。将来を見据えれば、それが最大の弱点かもしれません。社外の人から『後継者が育つかどうかが生命線ではないか』との助言をいただくこともあります」

【山元洋幸(やまもと・ひろゆき)】

ワン・ステップ代表取締役社長

1977年生まれ。大阪府出身。宮崎大学大学院在籍中、宮崎商工会議所の中心市街地活性化事業でチャレンジショップを開業後、中古車販売業などを経て、2002年に宮崎市でワン・ステップを設立。

空気で膨らむエア遊具を全国各地の観光施設や商業施設にレンタルする。保有する遊具は約800種で国内最大規模。

エア式のノウハウを生かし、医療用陰圧室や建築現場のセーフティーネットなど多様な商品を展開する。

当初から、社員に「社長」でなく「山元さん」と呼ばせるなど、誰でも意見を出しやすい雰囲気づくりに心を砕いてきました。新型コロナ以後、もっと社員に責任感をもってもらおうと、意識的に権限を委譲するようになりました。

同社の“ヒット作”の一つがコロナの感染拡大を防ぐため、患者を隔離・検査するスペースとして活用してもらおうと開発したエア式の医療用陰圧室です。山元さんは、イベントの遊具を担当していた20代の若手社員、柳田匠さんを開発主任に抜てきしました。

柳田さんは医療機関を飛び回って需要を聞き取り、宮崎大学で仕様について相談し、販路開拓にも努めました。柳田さんが振り返ります。

柳田 「イベントと違い、命にかかわる領域です。未知の分野だったのでプレッシャーもありました。でも、日々勉強しながら新しい商品を作れたことで大きな達成感を得ました。市場で先行メリットを取る大切さを学ぶこともできました」

柳田さんはその後も、家畜の手術台、建築現場のセーフティーマットなど新規事業の開拓を続けています。