令和の今、「根性論」を再定義する 営業パーソンに求められる“バランス感覚”とは?

AI要約

現代の営業において、根性論は古い考え方として否定されることが多いが、それでも重要な要素がある。

根性論から学んできた連帯感や信頼関係の構築、そして目標達成のための努力や挫折に対する意志がビジネスや組織において重要視されている。

欧米では「GRIT(グリット)」として、Guts、Resilience、Initiative、Tenacityという要素が注目されている。

令和の今、「根性論」を再定義する 営業パーソンに求められる“バランス感覚”とは?

 「現代営業は賢く・スマートに」――どこかのキャッチコピーにも出てきそうな言葉です。

 勘や精神論、根性論、はたまたオレ流の営業は、多くのメディアで旧来型と揶揄(やゆ)され、否定されています。

 根性論といえば仕事はもちろんですが、私は学生時代の部活でよく使われてきた言葉として連想することが多いです。「水を飲むな!」「うさぎ跳びでグラウンド10周!」など、まさに「根性」から連想することは、現代では非効率的で無意味なこととされています。

 では、今の時代に根性論は不要なのでしょうか? 「一昔前の根性論から何も享受してこなかったのか」といわれると完全に否定はできず、得てきたものもあるのではないでしょうか。

 今回の記事では、根性論から無駄で無意味な部分を排除し、より大きな成果につなげる要素として有効に活用できないかを考えてみましょう。令和における「根性論」を再考し、アップデートを提起したいと思います。

 われわれは根性論的な思想・行動から、どのようなことを学んできたのでしょうか。今回の記事では、「うさぎ跳びでグラウンド10周走ることに意味はあったのか?」という観点で考えてみました(うさぎ跳びを肯定するわけでも、否定するわけでもありません)。

 まず無駄な要素として、個人のスキルアップ自体はほとんど見込めません。体力をつけたいなら、通常のランニングの方が体への負担は少なくケガのリスクも低いです。筋力をつけたいなら、必要な箇所を適度にマシンで鍛える方がよほど効率は良いでしょう。

 では全て無駄なのかというと、そうでもない気がします。隣に仲間がいることを想像しましょう。個人的なスキルアップとしては非有効的でしたが、高校3年の最後の大会、試合で勝つか負けるかギリギリの局面、「あの時一緒にうさぎ跳びでグラウンド10周を乗り越えた仲間」という記憶が連帯感を生み、その試合の結末を左右する力に代わる可能性もあるのではないでしょうか。

 ビジネスにおいてはどうでしょう。「しんどくて無駄なこと」があったとして、顧客とともにそれを乗り越えたならば、通常ではなかなか育めない屈強な信頼関係につながるかもしれません。

 根性論は古い考え方とされる一方で、上記のような効果もあることから今なお多くのビジネスリーダーや成功した営業担当者から重要視されています。欧米でも以下の略語として「GRIT(グリット)」という言葉で注目されています。

Guts(度胸)    :困難なことに立ち向かう

Resilience(復元力):失敗しても諦めずに続ける

Initiative(自発性):自分で目標を見据える

Tenacity(執念)  :最後までやり遂げる

 根性論が重要である理由は、単に粘り強さを示すこと以上に、目標達成のための不屈の努力、挫折に立ち向かう意志、そして逆境を乗り越える力を育むからです。それは個人ではなく組織の方がより享受できるものが多いかもしれません。