11日判決「自分が母親でいいのか」 娘3人を殺した罪に問われている母が語った胸の内【記者の傍聴記】

AI要約

2022年2月、愛知県一宮市の自宅で娘3人を殺害したとされる母親に11日、名古屋地裁で判決が言い渡される。なぜ事件は起きてしまったのか。

遠矢姫華(とおや・ひめか)被告(29)の背景や精神状態が公判で明らかになる。

裁判では、被告の責任能力や殺意に焦点が当てられている。

11日判決「自分が母親でいいのか」 娘3人を殺した罪に問われている母が語った胸の内【記者の傍聴記】

2022年2月、愛知県一宮市の自宅で娘3人を殺害したとされる母親に11日、名古屋地裁で判決が言い渡される。なぜ事件は起きてしまったのか。

 「自分が母親でいいんだろうか」と胸中を吐露した被告。その生い立ちや、判決が言い渡されるまでの公判を振り返る。

 遠矢姫華(とおや・ひめか)被告(29)。工場で働く父と、美容師の母の間に生まれ、弟と4人家族だった。母とはあまり会話がなく、「寂しい」という気持ちを抱えていたという。

 弁護側の被告人質問によると、高校卒業後、洋菓子店に就職するも、長時間労働などがきつく仕事についていけなかった。生理も止まってしまい、3カ月ほどで退職。自宅で療養後、アルバイトを掛け持ちして生活するようになった。

 

 その後、脱毛サロンで正社員として働き、当時交際していた元夫(※事件後に離婚)との間に子どもを授かり、結婚。あわせて3人の娘を出産した。

 起訴状などによると、遠矢被告は2022年2月、自宅で長女の姫茉梨(ひまり)ちゃん(当時5歳)、次女の菜乃華(なのか)ちゃん(当時3歳)、三女の咲桜(さくら)ちゃん(当時生後9カ月)の首をコードのようなもので絞め、殺害した罪に問われている。

 5月27日に開かれた初公判では、裁判長に起訴内容について間違いがないか聞かれた遠矢被告。涙ながらに「間違いありません」と認めたものの、即座に弁護側が「客観的な事実として、3人の子どもに手をかけたことは間違いありませんが、心神喪失状態でしたし、殺意があったということは言えません」などと訂正し、無罪を主張。

 再度、裁判長から「主張は弁護人と一緒か」と確認されると、遠矢被告は「はい」と答えた。

 一方の検察側は、「遠矢被告には事件当時、精神疾患もなかったため責任能力もあるし、犯行状況などからみても殺意もあった」と指摘した。

 公訴事実については争いがなく、今回の公判は、事件当時の遠矢被告の精神状態がどうだったかという側面から、「責任能力があるか」「殺意があったか」の2つが主な争点となっている。