近鉄新車両・八角形の顔…クロス→ロングにシート切り替え、防犯カメラ

AI要約

新型の一般車両を導入する近鉄。24年ぶりの投入で、老朽化車両の置き換えを開始。

新型車両は座席配置を変更可能で、ベビーカーや大型荷物対応のスペースも設けられる。

安全や環境にも配慮した設計で、今後も更新予定が続く。

 近畿日本鉄道は10月から、新型の一般車両を京都線などで運行させる。特急以外で新型車両を投入するのは24年ぶりで、老朽化した車両を順次、置き換える。混雑状況に応じて座席の配置を変更できるのが特徴で、ベビーカーなどを置いてもゆったり座れる専用スペースも設けた。(向野晋)

 外観は紅白のツートンカラーで、正面には八角形の斬新なデザインを採用。大型荷物対応の座席スペースは、車両中央の乗降扉付近の2か所に設置した。ベビーカーやスーツケースを持ち運ぶ乗客を想定し、荷物を動きにくくするストッパーも備えている。

 通常の座席は、進行方向を向いた2人がけの「クロスシート」だが、混雑時は窓際で横並びになる「ロングシート」に切り替わる。1両の中で双方を組み合わせて配置することもできる。

 夏季や冬季の車内保温のため、駅に長時間停車する際に乗客が扉を開け閉めできるスイッチを導入。防犯カメラを1両あたり4か所に設置したほか、消費電力を従来の一般車両に比べ45%削減するなど、安全と環境にも配慮している。

 近鉄では、1960年代から70年代にかけて製造した車両の老朽化が課題となっており、特急以外の一般車両の約3割にあたる450両が更新の対象という。

 今年度は98億円を投じて新型車両を作り、京都線と奈良線、橿原線、天理線の4路線で4両編成12本(計48両)を置き換える。来年度はさらに大阪線、名古屋線、南大阪線を加え、計68両の新型車両を投入する予定だ。