「あの棒人間みたいなの何?」 駅ホームで目立つナゾの黄色い標識 その正体とは

AI要約

都内のJR駅で見かける黄色いひし形の標識は「軌道回路境界位置目標」と呼ばれ、閉塞の境界を示している。

この標識は、列車のオーバーランや緊急停止時に役立ち、後続列車との衝突事故を防止する役割を果たしている。

オーバーラン修正の際に境界を越えた場合はバックが許可されないため、運行計画の変更が必要となることもある。

「あの棒人間みたいなの何?」 駅ホームで目立つナゾの黄色い標識 その正体とは

 都内のJR駅のホームを歩いていると、黄色いひし形の標識を目にすることがあります。そのなかには、棒人間の上半身のような、メス「♀」マークにも似た記号が黒い線で描かれていますが、どのような意味があるのでしょうか。

 この標識は「軌道回路境界位置目標」と呼ばれるもので「閉塞(へいそく)」との境界があることを示しています。「閉塞(へいそく)」とは、原則として「1つの列車しか入れない区画」を示す鉄道用語です。ひとつの閉塞に1列車しか進入できないというルールを設けることで、列車の衝突事故を防いでいます。

 本来閉塞の境界には、信号機もしくは、列車の運転台に表示されるデジタル信号の境界があります。それら境界となる信号機があることを、目視で分かりやすくした標識が軌道回路境界位置目標です。

 なぜこのような標識が必要かというと、列車が駅でオーバーランしたり、発車後に緊急停止ボタンが動作したりして、中途半端な位置で停車してしまったときに役立ちます。

 オーバーランを修正する際、列車の最後尾が標識のある地点を越えていると確認された場合、その列車はバックできないことになります。最後尾を超えた時点で、標識の手前の閉塞は空いたことになり、後続列車が入ってくる可能性があるからです。その状態でオーバーランを修正し続けると最悪衝突事故になってしまう可能性があるからです。

 境界を越えたオーバーランの場合、運転指令所に許可を取ってバックをするか、次の駅まで行って、降車予定の人たちには折り返してもらうこともあるようです。