ECB理事会、4年9カ月ぶり利下げを決定 政策金利0・25%引き下げ

AI要約

欧州中央銀行(ECB)は物価の鈍化とインフレ率の下落を受けて政策金利を0・25%引き下げ、4年9カ月ぶりに利下げを決定した。

ECBは資源価格の高騰が一服し、インフレ率の低下が進むと見込んでおり、6月の利下げ決定を支持する声が強まっていた。

一方、賃金動向や中東情勢によるインフレ再燃のリスクを懸念する声もあり、利下げには慎重な姿勢を示している。

【パリ=板東和正】欧州中央銀行(ECB)は6日に理事会を開き、利下げ開始の是非を協議した。ユーロ圏の物価上昇率は鈍化傾向にあり、政策金利を0・25%引き下げることを決定した。利下げは2019年9月以来で4年9カ月ぶりとなる。22年から利上げを続けてきたECBが米連邦準備制度理事会(FRB)などに先駆けて政策を転換するかが注目されていた。

主要政策金利を4・25%、市中銀行がECBに余剰資金を預ける際の中銀預金金利を3・75%とし、0・25%ずつ引き下げる。

欧米では、新型コロナウイルス流行後の経済再開に加え、ロシアによるウクライナ侵略でエネルギーや穀物の価格が高騰した。

ECBはインフレを抑えるため、22年7月から昨年9月まで10会合連続で利上げを決断。中銀預金金利は、1999年の単一通貨ユーロ誕生以降で最高の4・0%に達した。主要政策金利は4・5%に設定していた。

しかし、資源価格の高騰が一服した影響で物価高が落ち着きを見せた。欧州連合(EU)欧州委員会が5月に公表した春季経済見通しでは、ユーロ圏20カ国のインフレ率は2023年の5・4%に対し、24年に2・5%、25年に2・1%に低下すると予想。ECBのラガルド総裁は「(インフレが)抑制された状態にある」とみる。

インフレ鈍化が中期的に進むことが予想されるため、ECB内では6月の利下げ決定を支持する声が強まっていた。ECBは今回の理事会で、足元の経済情勢や今後の見通しを踏まえ、利下げに踏み切った。

一方、ECB内では物価を左右する賃金動向を警戒。中東情勢緊迫化の影響からインフレが再燃する恐れを懸念し、急激な利下げには慎重論もあった。