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ボルトの規格が全然違う!ハーレーなどに見られる「ヤード・ポンド法」って何?
アメリカ製バイクと他のバイクのボルトの規格の違いによる修理断りの理由。
メートル法とヤードポンド法に基づくボルトの違い。
正しい工具の重要性とボルトの舐めた状態について。
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ハーレーのような、アメリカのメーカーが販売するバイクに乗っている人の中には、街中のバイクショップで修理を断られてしまった経験のある人もいるかもしれません。断られる理由はいくつか考えられますが、その中のひとつに「ボルトの規格が他のバイクと異なるから」というものがあります。
国産のバイクや、ヨーロッパのバイクに使われているボルトは、基本的に「メートル法」に基づいて作られており、ネジやボルトの外径、頭のサイズは基本的に何mmかで表されています。
メートル法は18世紀末のフランスで制定された単位系。長さの単位「メートル」のほか、重さの「キログラム」、液量の「リットル」、面積の「アール」などもこのメートル法で定められています。
一方、ハーレーなどのアメリカのバイクのボルトは、「ヤード・ポンド法」に基づいて作られています。
ヤード・ポンド法のルーツは、古くからイギリスで使用されているイギリス単位と呼ばれる単位系。19世紀のアメリカやイギリスで独自の発展を遂げており、同じ単位でもメートル法に直した数値には若干の違いがあります。
長さの単位である「インチ」「フィート」「ヤード」や、液量の単位である「オンス」「ガロン」、面積の単位である「エーカー」などは、聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
現在、アメリカではイギリス単位の定義を若干変更したものである「米国慣用単位」が使用されており、ボルトのサイズやガソリンの量、走行距離などの単位は全てこれに則っています。一般的には、メートル法に基づいたボルトやネジのことをミリネジ、ヤードポンド法に基づいたボルトやネジのことをインチネジと呼び、両者の間には互換性はありません。
ボルトのつけ外しは、頭の大きさに対応した工具を使っておこないます。例えば頭が10mmの六角形の場合は10mmのスパナを、6mmの六角穴付きの場合は6mmの六角レンチを使用します。
ボルトをつけ外しする際に誤った大きさの工具を使用してしまうと、ボルトの頭が変形してしまい、工具とうまく噛み合わない状態、いわゆる「舐めた」状態になってしまうことがあります。ボルトの頭が舐めてしまうと、ボルトに対してうまく力を伝えられず、最悪の場合ボルトを外すことができなくなってしまいます。
ボルトが外れないということは、その箇所の整備ができないということ。例えば、エンジンオイルのドレンボルトが外れなくなってしまった場合、オイル交換をすることができなくなってしまいます。
そのため、作業の際には正しい大きさの工具を使用することが非常に重要です。メートル法に基づいた工具で、ヤードポンド法に基づいて作られたボルトを無理に外そうとすれば、ボルトの頭が傷ついてしまうということは容易に想像できます。
また、切られているネジ山の間隔も異なるため、インチネジをミリネジで代用したり、ミリネジをインチネジで代用したりすることは基本的に不可能です。