「辞めるなら120万円払え」と脅された人も…退職代行業者モームリが出合った“ヤバい会社”

AI要約

退職代行サービスの実態について、代行業社と労働問題NPO法人の視点から語られている。

ヤバい会社や退職困難な状況を具体的な例を交えて紹介し、社員の苦労を明らかにしている。

退職代行サービスを利用する社員の実態や業務の重要性について、さまざまな視点を通じて解説されている。

「辞めるなら120万円払え」と脅された人も…退職代行業者モームリが出合った“ヤバい会社”

 近年注目を集める退職代行サービスだが、その実態はどのようなものなのか。代行業社「モームリ」の社員と、労働問題に取り組むNPO法人「POSSE」の理事に話を聞いた。

 モームリ創業メンバーの川又志織さんは、多くの「ヤバい会社」に出合ってきたそう。

「ほとんどの会社には淡々とご対応していただいております。ただごく一部ですが、暴言を吐くような会社もあり、私自身は『くそ女』『呪ってやる』と言われ、泣きそうになりながら対応したことがあります」

 こういう会社は、社員が退職の意向を伝えても、すんなりとは認めないことが多い。

「退職届を社員の目の前で破ったり、法律で定められている有休を消化してから辞めたいと言っても、『ウチには有休制度はない』と言い張ったりする会社があります。ほかにも、社長から『疲れてるだけだから、いい陰陽師を紹介するよ』と言われ、占ってもらったら『費用120万円払わないと退職させない』と脅されたという方もいました」

 自ら「ヤバい会社から転職してきた」と言う川上梨菜さんは、自身の退職経験を語る。

「前職は不動産会社でした。親戚の葬式で会社を休むと報告したにもかかわらず、葬儀が終わりスマホを確認すると、社長から100件も着信がありました。折り返すと、『もうお前なんか辞めろ』と言われたので、『辞めます』と返すと、『途中で仕事を放棄するのか! 給料は渡さないからな』と逆ギレされる。実際に退職代行で働いてみると、意外と私のような経験をされている方が多くて驚いています」

 なかには“常連”となった会社もある。大手の飲食店やコンビニチェーン、人材派遣会社だ。依頼者数が多く、何度も電話をかけているため、モームリのスタッフの名前は覚えられているらしい。

 ところで、「モームリ」という社名を名乗るとき、電話の向こうの会社はどのような反応をするのだろうか?

「みなさん『退職代行』という言葉に驚かれ、会社名までは耳に入らないようです。最後に『もう一度、御社名を伺えますか?』と聞かれ、『モームリ』とお答えすると、そこで笑われたり、『こっちがもう無理だよ』と嘆かれたり。最近では『ついにウチにも来ましたか』と言われるようにもなりました」(川又さん)