「アイスクリームあるよ」 スーパーが突然閉店、ピンチを救ったのは

AI要約

兵庫県西脇市黒田庄地区で買い物弱者支援のためにスーパーの移動販売が始まった。地元のJA系スーパー閉店後、自治会が別のスーパーに働きかけ実現。

地区の高齢化率が市平均を上回り、車を運転しない高齢者も多く、買い物支援が必要とされていた。フジが移動販売を担当し、週2回地区内の公民館などを回っている。

高齢者らがスタッフと楽しみながら買い物をする場面もあり、利用者は初日だけで160人に上った。地域の便益向上を目指し、サービスを提供している。

「アイスクリームあるよ」 スーパーが突然閉店、ピンチを救ったのは

 日常生活に必要な買い物が困難な「買い物弱者」を支援しようと、兵庫県西脇市黒田庄地区で5月から、スーパーの移動販売が始まった。1月末に地元のJA系スーパーが閉店し、自治会などでつくる「黒田庄まちづくり協議会」が別のスーパーに働きかけて実現した。

 移動販売は県内や中四国でスーパーを展開する「フジ」(広島市)が、自社の店舗を拠点に手がける。県内では神戸、姫路、宍粟各市などのほか、昨年12月には西脇市に隣接する多可町でも始めた。

 市によると、黒田庄地区の高齢化率は5月1日時点で39・82%と、市全体の34・47%を上回る。車を運転しない高齢者も多く、JA系スーパーの閉店後、買い物弱者の支援が急務だった。「買い物が不便になった」などの住民の声を受け、黒田庄まちづくり協議会がフジに依頼した。

 移動販売は西脇市小坂町の「マックスバリュ西脇小坂店」が拠点。冷蔵設備のある軽トラックに生鮮食品や総菜、調味料、菓子など350~400品目を積み、週2回、地区内の公民館などを回る。

 5月22日、立ち寄り先の一つの喜多公民館では高齢者ら約10人が集まり、「天ぷら油はないかな」「アイスクリームもありますよ」などとスタッフと会話しながら、買い物を楽しんだ。独り暮らしの女性(86)は「こうして来てくれると、ちょっとした買い物ができる」と笑顔で話した。

 協議会の伊藤義信会長(69)は「初日だけで計160人ほどの利用があった。少しでも便利になるよう支援したい」と話した。(大久保直樹)