米中国防相が1年半ぶり会談 台湾、南シナ海情勢めぐり直接協議

AI要約

オースティン米国防長官と中国の董軍国防相がシンガポールで会談。台湾や南シナ海情勢に焦点を当てた協議が行われ、偶発的な衝突を防ぐための意思疎通が議題に。

米中の国防相がシャングリラ・ダイアローグに出席するため訪問し、台湾独立を目指す勢力への懲罰として中国軍が台湾周辺で軍事演習を行い、米側は警戒を強める。

オースティン氏は中国に対し、台湾総統の交代を軍事的威圧の口実にすべきでないと懸念を示し、中国側は台湾問題を内政問題とし、演習の正当性を主張。南シナ海では中国の危険行為が問題視されている。

米中国防相が1年半ぶり会談 台湾、南シナ海情勢めぐり直接協議

 オースティン米国防長官と中国の董軍国防相が5月31日、訪問先のシンガポールで会談した。米中国防相が対面で会談するのは2022年11月以来、約1年6カ月ぶり。緊張が高まる台湾や南シナ海情勢をめぐる協議が焦点。偶発的な衝突を防ぐための米中間の意思疎通の維持も議題となる。

 米中の国防相は「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」に出席するため、シンガポールを訪問している。中国軍は5月23~24日、台湾の頼清徳(ライチントー)総統の就任演説に対し、「台湾独立を目指す勢力への懲罰」として台湾を取り囲むように軍事演習を行った。米側は、中国軍が海上封鎖を想定し、台湾侵攻に向けた準備を進めているとみて警戒を強める。

 オースティン氏は中国側に対し、台湾総統の交代を軍事的威圧の「口実にするべきではない」とし、懸念を示す見通しだ。これに対し、台湾問題を「中国の内政問題」とする中国側は、演習についても「合法であり正当」との立場を強調し、台湾への軍事支援を強める米側に強い反対を示すとみられる。

 南シナ海のアユンギン礁近海では、中国船によるフィリピン船への放水や衝突などが相次ぎ、緊張が高まっている。米側は、中国による危険行為だとして問題提起するとみられる。