中国政府、台湾への関税優遇措置の停止を大幅拡大 新たに134品目、新政権への圧力か

AI要約

中国政府は、台湾からの輸入品に対する関税優遇措置の停止範囲を拡大することを発表した。今回は潤滑油基油など134品目が新たに対象となる。

関税優遇は中台間の自由貿易協定に基づく措置で、中国政府は台湾が規定に反して一方的な禁止や制限措置をとったと主張している。

中国は台湾を「台湾独立」派と見なし、頼政権に対する圧力を強めており、軍事演習などでその姿勢を示している。

中国政府、台湾への関税優遇措置の停止を大幅拡大 新たに134品目、新政権への圧力か

【北京=三塚聖平】中国政府は31日、台湾からの輸入品に対する関税優遇措置の停止範囲を6月15日から拡大すると発表した。潤滑油基油など134品目を新たに停止対象に加えた。台湾側への対抗措置だと説明している。中国は、台湾で今月20日に就任した民主進歩党の頼清徳総統を「台湾独立」派とみなして圧力を強めており、今回の措置も圧力の一環とみられる。

関税優遇は、中台間の自由貿易協定(FTA)に相当する「両岸経済協力枠組み協定」(ECFA)に基づく措置。中国政府は「台湾地区が一方的に(中国)大陸製品の輸出に差別的な禁止、制限措置をとった」ことがECFAの規定に反していると主張した。

中国政府は、今年1月から合成樹脂や化学製品の原料となるプロピレンなど12品目の関税優遇措置を停止している。今回は対象範囲を拡大した形だ。

中国で台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室は31日発表の報道官談話で、関税優遇措置の停止を「支持する」と強調。その上で、頼政権が「頑迷に『台湾独立』の立場を堅持している」として、中台が「一つの中国」原則を確認したとされる「1992年合意」も認めていないと非難した。

中国は5月23、24両日に台湾周辺で軍事演習を行うなど頼政権への圧力を多方面で強めている。

ECFAは、中国に融和的な中国国民党の馬英九政権下の2010年に結ばれていた。