台湾・頼政権「ウクライナ重視」の主張が物議、対米関係も緊張か 「肝心の台湾が必死で戦うつもりがないのに…」

AI要約

台湾の新総統就任式には、超党派の代表団が参加し、中国やロシアからの反対声明があった。

米国内でも台湾に対する厳しい姿勢を取る声があり、国防費の問題を指摘する保守派が存在する。

指導者が台湾の真剣な取り組みを期待しており、米国の関与に対する見方に違いがあることが示唆されている。

【ニュースの核心】

台湾の頼清徳総統の就任式が20日、台北市内で開かれた。米国は、ブライアン・ディーズ元国家経済会議委員長や、リチャード・アーミテージ元国務副長官など、超党派の代表団を派遣。日本も超党派の「日華議員懇談会」から30人以上の国会議員が参加する。これに対し、中国の習近平国家主席と、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、16日の首脳会談後に署名した共同声明で、「いかなる形式の『台湾独立』にも反対する」と強調した。「自由主義陣営vs全体主義陣営」という構図を強く感じるが、実は米政界にも台湾に厳しい姿勢を取る人々がいる。ジャーナリストの長谷川幸洋氏の最新リポート。

台湾の新総統に、蔡英文政権の与党・民進党の頼清徳氏が20日、就任した。「台湾の現状維持」を掲げる次期頼政権にとって、脅威は中国だけではない。実は、味方であるはずの米国にも、根強い「台湾批判派」がいるのだ。

どういうことか。

日本では、まったく報じられていないが、共和党保守派からは、かねて「台湾は自主防衛に十分な努力をしていない」と批判する声が出ていた。代表格は、ドナルド・トランプ前政権で国防次官補代理として2018年の「国家防衛戦略」を執筆したエルブリッジ・コルビー氏だ。

同氏は11日付の台湾英字紙「台北タイムズ」に寄稿し、次のように論評した。

「台湾が昨年夏に発表した防衛予算は190億ドル(約2兆9300億円)で、国内総生産(GDP)の2・5%にすぎない。公式発表に基づく中国の軍事費は、その12倍だ。実際の数字なら、37倍に上る。台湾は防衛に真剣とは言えない。なぜ、防衛費を10%にしないのか」

コルビー氏は続けた

「台湾は『いつでも米国が守ってくれる』と思っているようだが、台湾は米国の死活的利益ではない。米国は台湾なしでも生き残れる。われわれの指導者は米国の若者に、台湾が果たす以上の仕事を求めないだろう。イラクやアフガニスタンで血みどろの戦争を経験した米国は『もう懲り懲り』と思っているのだ」

誤解のないように言うが、コルビー氏は米国でも指折りの対中強硬派だ。「米国は台湾を守らない」と言っているのではない。「肝心の台湾が必死で戦うつもりがないのに、米国が命を賭けて台湾を守るわけがない」と本音をさらして訴えているのだ。