北朝鮮「火星17型」の爆竹販売…MZ世代狙った「核の慈父」金正恩

AI要約

北朝鮮が子どもたちを対象に大陸間弾道ミサイル「火星17型」の模型を販売しており、最近はキム・ジョンウン国務委員長の娘も登場し、未来世代への思想強化を図っている。

花火用品店でICBM模型が販売されており、北朝鮮ではICBMをおもちゃとして扱う奇妙なスタイルが続いている。

この動きは若い世代への政治思想強化を意味し、金正恩が未来世代の安定と繁栄を約束するというメッセージを伝えるものでもある。

北朝鮮が子どもたちを対象に大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星17型」の模型を作って販売していることが明らかになった。金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が最近娘のジュエ氏を前面に出して「慈父金正恩」の姿を強調すると同時に、「ICBMグッズ」まで作って未来世代を狙った思想強化を試みているとみられる。

北朝鮮の朝鮮中央テレビは19日夕方のニュースで、平壌(ピョンヤン)にある花火用品店を紹介しながら「20種類9万点の花火道具を売っている」と伝えた。店員は「火星砲の模型をはじめさまざまな新しい形の花火用品を中心に準備した。このうちトンボ花火、コマ花火は子どもたちに人気だ」と話した。

続けて映像に登場した陳列台では「火星17型」と記されたICBMの模型が目に付いた。模型は本体が黒く弾頭部が白と黒の格子模様になっているなど実際の火星17型と似た姿だ。店では発射管に番号が書かれた移動式発射車両の模型も販売していた。

こうしたICBMグッズは初めて登場したものではない。金委員長夫人の李雪主(イ・ソルジュ)氏も昨年2月8日の建軍節の宴会で火星17型をあしらったネックレスを着用して公開席上に出てきたことがある。同年10月に平壌3大革命展示館の軽工業館で開かれた軽工業発展2023展示会にも「ミニ火星砲17型」が展示された。

大量破壊兵器(WMD)のICBMまでおもちゃとして作り普及させる北朝鮮の奇怪なスタイルは20~30代の北朝鮮版MZ世代を狙った一種の政治思想強化の動きと解釈される。統治力向上に向けWMDに資金を投じるために飢える住民に向け核・ミサイル開発の正当性を強要するのと変わらないという指摘もできる。

これに対して慶南(キョンナム)大学極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「最近金委員長が強調している『慈父金正恩』のイメージとともに金正恩が未来世代の安定と繁栄を約束する点を知らせるためのもの。若い世代に向け米国の軍事的脅威に震える必要はないという統治メッセージを出す次元もある」と話した。続けて「若い世代を狙ったすべての動きは彼の11歳の娘キム・ジュエの登場時期と重なる」と話した。

ICBMのおもちゃが昨年北朝鮮が最新型ICBMとして公開した火星18型ではなく17型なのも目を引く。時期的に北朝鮮が核・ミサイルのモラトリアム(猶予)を破棄した2022年2~3月以降に関連模型を製作、配布するよう指示があったとみられる。

北朝鮮は同年2月27日、火星17型と推定されるICBMを初めて発射し、金委員長は翌年3月16日に娘のジュエ氏とともに火星17型の発射を参観した。当時「訓練を通じて大陸間弾道ミサイル部隊戦略武力の信頼性が検証された」としながら戦力化が迫っていることを示唆した。これに対し固体燃料を使う最新ICBMの火星18型は昨年4月に初めて試験発射をしたが、まだ技術的に完成されていないという意味でありそうだ。