イラン大統領のヘリ不時着、国営メディアは悪天候が原因との見方…捜索難航で安否は未だ不明

AI要約

イランのエブラヒム・ライシ大統領や外相が乗ったヘリコプターが山中に不時着し、行方不明となった

捜索・救助隊が派遣されているが、悪天候と濃霧で活動が難航している

最高指導者のアリ・ハメネイ師は国家運営に混乱はないとし、平静を保つよう国民に促している

 【テヘラン=吉形祐司、ワシントン=淵上隆悠】イラン国営テレビによると、イランのエブラヒム・ライシ大統領やホセイン・アブドラヒアン外相らを乗せたヘリコプターが19日、北西部の東アゼルバイジャン州の山中に不時着し、行方不明となった。捜索・救助隊が派遣されたが、悪天候と濃霧で活動は難航している。機体は見つかっておらず、大統領らの安否は不明だ。

 モハンマド・モフベル第1副大統領は19日、緊急閣議を招集し、モフセン・マンスーリ行政担当副大統領とバフラム・エイノラヒ保健相に担当を命じ、同州の州都タブリーズに派遣した。

 ライシ師は19日、隣国アゼルバイジャンとの国境付近に建設されたダムの供用開始式典に出席していた。

 マンスーリ氏によると、ライシ師は午後1時頃、随行員らとヘリ3機に分乗し、次の行事の予定地タブリーズに向かった。離陸の約30分後、ライシ師が乗ったヘリと交信が途絶えた。大統領と同乗していた2人から何度か政府に接触があったが、通信事情が悪く思うように連絡をとれないという。

 不時着について、イラン国営メディアは、悪天候が原因との見方を伝えた。現場付近では濃霧のため上空からの捜索を断念し、地上での捜索も難航している。

 最高指導者のアリ・ハメネイ師は首都テヘランでの会合で「国家運営に混乱はない」と述べ、平静を保ち、ライシ師らの無事を祈るよう国民に促した。各地で祈りの集会が開かれた。

 イラン憲法によると、大統領が死亡したり不在となったりした場合、第1副大統領が最高指導者の同意を得て職務を代行する。大統領代行と国会議長、司法府長官の3者で構成する評議会が選挙を準備し、50日以内に新大統領を選ぶ。

 ロイター通信によると、バイデン米大統領は19日、今回の不時着について報告を受けた。米国務省の報道担当者は19日、「報道を注視している」と本紙に語った。