中国SNS「日本でも中国人狙った事件多い」 根拠ない投稿で深圳の男児刺殺を矮小化

AI要約

中国広東省深センで日本人児童が刺殺される事件が起き、中国の交流サイトでは日本人に対する攻撃が相次いでいる。

一部投稿は根拠のない内容で、大阪や静岡など日本での中国人被害例を挙げているが、その多くは友人間のトラブルなどで起きたものである。

中国のSNSにはデマや差別的な投稿があり、反日ムードを助長しているとの指摘もある。

中国SNS「日本でも中国人狙った事件多い」 根拠ない投稿で深圳の男児刺殺を矮小化

【北京=三塚聖平】中国広東省深圳(しんせん)市で日本人学校に通う日本人男子児童(10)が男に刺されて死亡した事件後、中国の交流サイト(SNS)で「日本でも同じように中国人を狙った襲撃事件が多く起きている」などとする投稿が相次いでいる。その大半は知人とのトラブルなどに起因する事件で、根拠がない投稿で深圳の事件を矮小化(わいしょうか)する動きとみられる。

中国の短文投稿サイト、微博(ウェイボ)では被害児童を悼む投稿に対し、「それなら日本で殺された中国人をどう見るのか?」などと反発する投稿が目立つようになっている。2022年10月に大阪市で中国籍の自営業男性が殺された事件や、今年2月に静岡県の浜名湖で中国籍の男子高校生が殺害されて遺体が見つかった事件など複数の「具体例」を挙げている。

今年7月には大阪市で中国人観光客が腕を刃物で刺されて金を要求される事件が起きているが、いずれも「中国人を狙った」とは報じられていない。強盗被害などのほかは、金銭や交友関係を巡るトラブルなどで知人に殺害されたとみられるような事件ばかりだ。少なくとも児童が面識のない大人に突然刺されて死亡したような事件はない。

中国のSNSにも、日本で中国人を狙った襲撃事件が多いという情報が「デマ」であると検証する人がいるが、現時点で投稿は止まっていない。中国外務省は今回の事件について「類似の事件はいかなる国でも起きる可能性がある」と主張し、動機など事件の真相につながる情報は公表していない。

中国のSNSでは日本人への差別的な投稿や、日本人学校を「スパイ養成学校」や「租界」などとするデマや荒唐無稽な主張が放置されて広まってきた。こうしたSNS上の論調が「反日」ムードを助長し、事件にも影響したという見方は中国側にもある。