1000年前の高麗犬を復元…「伴侶動物のメッカ」任実の夢、獒樹犬=韓国(1)

AI要約

全北任実に位置する獒樹研究所が1996年に開設され、獒樹犬に焦点を当てて研究・育種を行っている。

獒樹犬は最近国連食糧農業機関に登録され、地域適応品種として認定された。獒樹犬はチベタン・マスティフという犬種を導入して韓国の環境に適応させ、固有の犬として位置付けられている。

高麗時代にさかのぼる獒樹犬の起源や功績についての伝説があり、研究所はその伝説を再現し、獒樹犬を復元するプロジェクトを推進している。

1000年前の高麗犬を復元…「伴侶動物のメッカ」任実の夢、獒樹犬=韓国(1)

◆「義犬の地」全北任実…1996年に開設

9日午後3時、義犬の地、全羅北道任実郡獒樹面(イムシルグン・オスミョン)の獒樹研究所。「出入り制限」と書かれた横断幕が設置された建物の中に入ると、犬がほえる声が聞こえた。飼育場・運動場にいた獒樹犬が招かざる客を見ると一斉に警戒態勢に急変した。

獒樹研究所のイ・ジョンヒョン企画研究チーム長(36)は「少し前に防疫を終えた」とし「いくら消毒をしても外部の人が入ってくれば免疫力が落ちたり犬糸状虫症などにかかるおそれがあり、普段から一般人には研究所を公開していない」と説明した。

◆獒樹犬、国連食料農業機構品種に登録

1996年に開設された民間団体「獒樹研究所」は任実郡の補助を受けて現在、獒樹犬約70匹(民間委託20匹含む)を飼育中だ。チーム長のイ氏ら職員2人が獒樹犬育種・管理などをし、担当の獣医師も2人いるという。入浴・乾燥など衛生施設も備わっている。

研究所では最近よいニュースがあった。獒樹犬が6月、国連食糧農業機関(FAO)が運営する家畜多様性情報システム(DID-IS)に「大韓民国の犬・獒樹犬(Osugae)」品種として新しく登録されたのだ。これで現在まで家畜多様性情報システムに登録された韓国の犬は獒樹犬を含めて珍島(チンド)犬、済州(チェジュ)犬、トンギョンイ、ブル犬、サプサル犬(3系統)、豊山(プンサン)犬の全7品種(9系統)となった。

国立畜産科学院家畜遺伝資源センターのキム・スンチャン研究員は「獒樹犬は土着在来種ではないが、(獒樹研究所が)文献に基づいてチベタン・マスティフという犬種を導入して韓国の環境に合うよう長い世代をかけて育種した」とし「これに対して国立畜産科学院は獒樹犬を地域適応品種と認定し、専門家の審議などを経てわが国の固有資源として登録した」と説明した。

◆「1000年前の高齢犬の根幹…2008年に復元」

飼い主を救って死んだ獒樹犬の話は高麗時代の文人・崔滋(チェ・ジャ)が1254年に書いた『補閑集』に収録されている。973年にキム・ゲインという人物が家で飼っていた犬と外出し、酒を飲んで帰る途中に森で眠ったが、野火が広がると犬が近くの川を数回往復しながら体の水で火を食い止めて飼い主を救った。眠りから覚めたキム・ゲインは深く悲しみ、死んだ犬を土に埋めて持っていた杖を立てた。この杖が後に大きな木になった。犬を意味する獒と樹を合わせた地名「獒樹」はこれに由来するというのが研究所の説明だ。

獒樹犬の研究は1995年の「獒樹義犬の根を探そう」という住民の署名運動がきっかけになった。獒樹犬の正確な形態を知らないため、それ以前に建てられた義犬の石像・銅像は珍島犬、シェパード、サプサル犬の形を真似たという。獒樹研究所は1000年ほど前に実存した高麗犬を根幹にして2008年に獒樹犬を復元した。

ソウル大獣医学部のハン・ホンリュル名誉教授と韓国動物保護研究会のユン・シングン会長(獣医師)ら専門家を主軸に3回にわたり復元・育種事業を推進した末、「ダロンイ(雌)」を獒樹犬の基本形として制定・宣言した。研究所は獒樹犬の復元以降、子犬を産んでも同じ形を維持する「遺伝的固定率」を高める研究に集中している。