独シーメンス、米NYで「時速350キロ」の高速鉄道車両を製造へ

AI要約

ドイツの機械・エンジニアリング大手シーメンスは、米ニューヨーク州にラスベガスと南カリフォルニアを結ぶ高速鉄道プロジェクト「ブライトライン・ウェスト」向けの車両の製造工場を建設すると発表した。この工場は、米国初の高速鉄道専用の工場になる見通しという。

シーメンスは2026年に稼働する新工場で電動車両の「アメリカン・パイオニア220」を製造し、最高時速220マイルの高速車両を納品する予定。この新型車両は、全輪駆動システムを搭載し、車椅子に乗った乗客も通路を自由に移動できる設計となっている。

また、シーメンスは北米で3つ目の鉄道製造施設を建設し、バイデン政権の高速鉄道整備に合わせて進化している。新工場ではブライトライン・ウェスト向けの車両製造が行われ、同プロジェクトにはシーメンスが電力供給システムも提供する予定だ。

独シーメンス、米NYで「時速350キロ」の高速鉄道車両を製造へ

ドイツの機械・エンジニアリング大手シーメンスは、米ニューヨーク州にラスベガスと南カリフォルニアを結ぶ高速鉄道プロジェクト「ブライトライン・ウェスト」向けの車両の製造工場を建設すると発表した。この工場は、米国初の高速鉄道専用の工場になる見通しという。

シーメンスは現地時間9月9日、ニューヨーク州ホースヘッズの新工場に6000万ドル(約85億円)を投資すると発表した。この工場は2026年に稼働し、約300人を雇用する予定で、シーメンスがヨーロッパですでに製造しているモデルをベースにした「アメリカン・パイオニア220」という電動車両の組み立てを行う。2027年から納車が始まる見通しのこの車両 は最高時速220マイル(約350キロ)とされている。

シーメンスの北米モビリティ部門のプレジデント兼CEOのマーク・バンチャーは、フォーブスに対して「この新型車両は、すべての車両が完全に動力を持つ全輪駆動のようなシステムの高速車両だ」と語った。この車両はまた、「フルワイドボディの設計で、車椅子に乗った乗客が自由に通路を移動できる仕様になっている」という。

シーメンスにとって米国での3つ目の鉄道製造施設となる新工場は、バイデン政権が高速鉄道の整備を進める中で着工される。超党派インフラ法による30億ドルの連邦助成金を受けたブライトライン・ウエストのプロジェクトは、4月に建設が開始された。

ビリオネアの投資家のウェス・エデンズが手掛ける120億ドル(約1兆7000億円)規模のこのプロジェクトは、2028年までにラスベガスとロサンゼルス郊外を結ぶ予定で、シーメンスの新型車両には、「パーティーカー」が導入され、ラウンジとバーが完備されるという。シーメンスは、ブライトライン・ウェストのための電力供給システムも提供するという。

シーメンスの欧州における競合であるAlstom(アルストム)も、現時点で米国で最速の旅客鉄道である全米鉄道旅客公社のアセラ・エクスプレス向けの車両をニューヨークで製造している。しかし、この車両は、シーメンスがフロリダのブライトライン向けに提供している最高時速が約201キロのモデルにより近いものとされている。

シーメンスとアルストムは、カリフォルニア州の高速鉄道局が2030年代初頭の開業を目指す高速鉄道の車両の供給契約を争っている。シーメンスがこの契約を獲得すれば、ニューヨークの新工場でカリフォルニア向けの高速鉄道車両が製造される可能性もある。

シーメンスは、サクラメントの工場や新たに開設されるノースカロライナ州レキシントンの工場に加えて、ホースヘッズの新工場を持つことで、潜在的な顧客に幅広く対応できることになる。「当社は、以前にはなかった柔軟性を手に入れた」と同社は述べている。