無資格エアコン技師の問題が続く理由

AI要約

繁忙期にエアコン修理業者が急増し、無資格の技師による作業が横行している

資格取得の問題や詐欺が発生しており、安全対策が不十分で事故が起こる可能性もある

消費者や業界全体の規範向上と関連法整備が必要であると指摘されている

無資格エアコン技師の問題が続く理由

【東方新報】高温が続く中、エアコンの稼働が加速している。それに伴い、エアコンの修理業者も繁忙期を迎え、「最も予約が取りにくい人」となっている。しかし、最近の調査によると、繁忙期にはプラットフォームや個人経由で依頼を受ける無資格のエアコン技師がいることが分かった。一部の技師は「資格がなくても稼げる」と話している。

 関連規定によると、エアコンの取り外しや修理を行うには、高所作業資格証が必要である。特別作業従事者の安全技術訓練と試験の秩序を整備し、無資格での作業を防ぐために、中国の市場監督総局と緊急管理部は今年3月から10月にかけて全国的に特別作業従事者の安全技術訓練と試験の特別整備を実施している。

 しかし、現時点でも業界内では無資格での作業や、資格取得の問題が続いている。無資格作業員をどのように取り締まり、エアコン技師の安全をどのように確保するかについて、取材を行った。

 ■資格がなくても作業できる現状

 河南省(Henan)の個人事業主でエアコン技師をしている呉(Wu)さんは、繁忙期に入ってから2か月間で約400台のエアコンを取り付け・修理しており、朝5時に作業を開始し、翌朝3時まで働くこともあったという。厳しい暑さと高所作業はエアコン技師にとって大きな負担となっている。

 呉さんによると、「農村部では外機を2階や3階に取り付けることが多いが、都市部では8割以上の依頼が4階以上で、体力と技術が非常に求められる」と語っている。

 高所作業とは、地面から2メートル以上の高さで作業を行うことを指し、これは特別作業に分類される。呉さんが行うエアコンの取り外しや修理も高所作業に含まれ、特別作業資格証が必要だが、彼のチームの中には無資格で作業をしている人もいるという。

 呉さんは「資格がなくてもお金を稼げる。もし資格を確認されたら、その人を作業から外せばいいだけだ」と話す。高所作業は難易度が高くリスクも大きいため、技師の流動性が高い。秋が近づくと多くの技師が他の仕事に移り、翌年の夏に再び一時的に作業をするため、多くの人が資格を取るための時間をかけたくないという。

 ■資格取得における問題

 特別作業従事者の安全技術訓練と試験の整備が進む中、陝西省(Shaanxi)の李(Li)さんは資格を持って作業することが安心だと考え、資格を取ることにした。しかし、彼は2680元(約5万4640円)を支払った後、3つの偽造証明書を受け取っただけだった。彼は証書を受け取った後、緊急管理部の公式ウェブサイトで証書の情報を検索したが、何も見つからなかったため、詐欺にあったことを知ったという。本来、資格を取得するには、オフラインの理論試験と実技試験を受ける必要があり、受験者本人が必ず現地に来て顔認証を通過しなければならない。

 李さんのような被害者は他にも多く、インターネット上では虚偽の証明書を発行する研修機関に対する苦情が多く寄せられている。

 ■安全を守るために

 高所作業中の安全対策が不十分で事故が発生するケースも少なくない。無資格で作業を行う労働者が事故を起こした場合、誰が責任を負うのかが問題となる。江西省(Jiangxi)廬山市(Lushan)人民法院では、エアコンの修理中に事故が発生した事例が審理された。

 中国人民大学(Renmin University of China)公共管理学院教授で首都発展戦略研究院の研究員である張友浪(Zhang Youlang)氏は、消費者が無資格の技師を雇った場合、事故が発生すると責任の所在が複雑になると指摘している。消費者は作業員の資格を確認する責任を負うべきではなく、これを要求するのは過重な負担だと考えている。また、プラットフォームを通じて作業を依頼する場合には、資格証明書の確認を行うシステムを導入するべきだという。

 張氏はさらに、関連法を整備し、無資格での作業に対する罰則を明確にすることで、業界の全体的な規範を高めることができると述べている。また、消費者がサービスに満足できない場合や事故が発生した場合には、適切な賠償を受けることができるようにすることも重要だと強調している。(c)東方新報/AFPBB News

※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。