“中国による侵攻”テーマのドラマ、台湾で制作…工作活動も描く 狙いは?

AI要約

台湾で制作された禁断のドラマでは、中国による台湾侵攻を描いており、台湾政府も全面協力している。

ドラマは、中国軍の異例のテーマを取り上げ、専門家の想定に基づいたシナリオが大きな反響を呼んでいる。

中国の工作活動や秘密工作を生々しく描いたドラマは、実際に起こりうる可能性を警告している。

中国による台湾侵攻をテーマにした禁断のドラマが台湾で制作され、注目されています。描かれたのは、中国が本格的な侵攻を前にさまざまな工作を仕掛け、台湾を追い詰める様子です。そのドラマ制作の狙いとは─。

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先週、台湾の中枢・台北市内では…

渡辺容代記者(台北市、24日)

「総統府の前の道路を封鎖し、ドラマの撮影が行われています。普段は車通りの多い道路上に一台も車が走っていません」

製作費は10億円超え。台湾政府も全面協力し、大がかりなドラマの撮影が行われていました。そのドラマが描くのは…“中国軍による台湾侵攻”。台湾ドラマでは取り上げられる事のなかった異例のテーマです。

8月に解禁された予告編は、“中国軍機が台湾周辺上空で消息を絶った”とのニュースから始まり、“中国軍が機体の捜索を口実に台湾を海上封鎖”。サイバー攻撃により金融システムが麻痺し、台湾内部の協力者らが暴動を起こし始めるというシナリオです。専門家らの想定に基づいていることから、ドラマは大きな反響を呼んでいます。

ドラマには俳優の高橋一生さんも出演。中国での活動への影響を懸念し、企画から降りた俳優や監督もいたといいます。その撮影現場を見てみると…

記者

「こちらのプラカードには、“両岸(中国と台湾)はひとつの家族”という文言が書かれています」

ほかにも、台湾政府に対し、中国を挑発しないよう要求するプラカード。中国政府が手配した協力者たちが、これを掲げて、総統府に押しよせるシーンの「小道具」です。さらにドラマには次のような場面も…

中国のアナウンサー(ドラマ予告編より)

「台湾独立に向け活動する者を見かけたら必ず中国軍に通報」

そしてハッキングにより台湾の街中のモニターが一斉に中国の放送に切り替わります。

これは2022年、中国が台湾への圧力を強めた際、駅やコンビニの電光掲示板がハッキングされた事がモデルとなっています。

台湾統一を目指す習近平政権。軍事力行使も排除しないとしていますが、さまざまな秘密工作を駆使し、内部崩壊を狙っているともされています。

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ドラマで生々しく描かれた中国の工作活動。制作に協力した専門家は、これらはすでに始まっている可能性が高いとみています。