ヒズボラ、イスラエルに数百発のミサイル 司令官殺害の報復
ヒズボラがイスラエルに対する報復としてロケット弾と無人機を発射
イスラエルは攻撃を事前に察知し、レバノンの軍事目標を攻撃
状況が緊迫し、地域紛争の懸念が高まり、バイデン大統領も関心を示す
Maytaal Angel Maya Gebeily
[エルサレム/ベイルート 25日 ロイター] - レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラは25日、イスラエルによる最高幹部殺害の報復として、同国に対し数百発のロケット弾と無人機(ドローン)を発射した。イスラエルは対応を協議するために閣議を開いた。
イスラエル軍はヒズボラが攻撃を準備していることを事前に察知し、戦闘機でレバノンの標的を攻撃したと発表した。
ヒズボラは320発以上の「カチューシャロケット」を発射し、11カ所の軍事目標を攻撃したと明らかにした。これにより報復の「第一段階」が完了したが、完全な対応には「しばらく時間がかかる」とした。
ヒズボラのシュクル司令官は先月、ベイルート郊外でイスラエルの空爆により殺害され、両者の間で緊張が高まっていた。
イスラエルのカッツ外相は、イスラエルは地上での情勢の変化に応じるが、全面戦争は求めていないと述べた。
ガラント国防相は声明で、「イスラエル国民に対する差し迫った脅威を阻止するため、レバノンで正確な攻撃を行った。われわれはベイルートの動向を注視しており、国民を守るためにあらゆる手段を用いる決意だ」と表明した。
イスラエル軍の報道官は、攻撃のほとんどはレバノン南部の標的を狙ったものだが、脅威がある場所ならどこでも攻撃する用意があると述べた。
「数十機の(イスラエル空軍の)ジェット機が現在、レバノン南部のさまざまな場所を攻撃している。われわれは脅威を除去し、ヒズボラのテロ組織に対する集中的な攻撃を続けている」と語った。
ガラント氏は非常事態を宣言し、テルアビブの空港を発着する便は約90分にわたって中断された。空港当局は午前7時(日本時間午後1時)までに通常の運航が再開される見込みとしている。
イスラエル救急当局によると、今のところ死傷者は報告されていない。
<地域紛争への懸念>
イスラエルとヒズボラの緊張が高まったことで、米国とイランを巻き込むより広範な地域紛争が起こるのではないかとの懸念が高まっている。
米ホワイトハウスは、バイデン大統領は状況を注視していると述べた。
米国家安全保障会議(NSC)のサベット報道官は「(バイデン氏の)指示により、政府高官はイスラエル側と継続的に連絡を取っている。われわれはイスラエルの自衛権を支持し、地域の安定のために努力し続ける」と説明した。