89人の遺体、イスラエルがガザに返還 身元判別不能、死亡時期も経緯も明らかにせず

AI要約

イスラエル軍から返還された89人の遺体が集団埋葬される中、家族が身元の確認に苦しむ状況が続いている。

遺体は3~5カ月前から最近までのものが混在し、遺体の持ち主を特定する作業が進められている。

家族は遺体の中から身元を確認し、自らの手で遺体を埋葬するために必死になっている。

(CNN) パレスチナ自治区ガザ地区南部のハンユニスで、イスラエル軍から返還された89人の遺体の集団埋葬が行われた。墓地には行方が分からなくなった家族を必死で探そうとする住民が集まっている。

パレスチナ当局によると、イスラエルは遺体の身元を一切明らかにしておらず、死亡の時期や死亡した経緯に関する情報の提供もなかった。

イスラエル軍は遺体の搬送についてはコメントしておらず、CNNの取材にも返答はない。

89人の遺体は5日に返還された。腐敗したり白骨化したりした遺体は袋に入れられ、コンテナに積まれていた。

現地の医師によると、死亡時期は3~5カ月前のものもあれば、最近のものもあった。当局が身元確認を試みているが、ほとんどは判別不可能な状態にある。「家族から情報を隠すことは、イスラエル占領による新たな犯罪だ」と当局者は非難。遺体が墓から掘り起こされたのか、占領刑務所から来たのかは分からないと話している。

集まった人たちの中に、25日前に行方が分からなくなった2人の息子を探す女性の姿があった。遺体の中から息子が着けていたものと一致する腕時計が見つかり、「息子です」と女性は言った。後日遺体の写真を見せると告げられたが、女性は遺体と対面して確認し、息子たちを埋葬したいと望んでいる。

別の男性は両親を探していた。数カ月前に墓が掘り起こされて遺体が行方不明になり、以来、病院や安置所を探し続けた。自分が母親を覆ったのと同じ毛布に包まれた遺体を見つけた男性は、「これで母をもう一度埋葬できる」と言い、子どもの遺体ががれきの下敷きになったままの人たちもいると言い添えた。