マリファナ好きの陽気な彼は、なぜ五輪のリポーターに抜擢されたのか?米ラッパー、スヌープ・ドッグのパリ五輪での存在感!

AI要約

パリ五輪ではNBCが視聴率アップを図るため、ラッパーのスヌープ・ドッグを特派員に起用し、彼の役割を拡大している

スヌープはさまざまなコンテンツに登場し、バドミントンなどのマイナースポーツも盛り上げる役割を果たしている

スヌープの魅力や人気を生かしたNBCの戦略が成功し、ソーシャルメディアでも話題になっている

マリファナ好きの陽気な彼は、なぜ五輪のリポーターに抜擢されたのか?米ラッパー、スヌープ・ドッグのパリ五輪での存在感!

米国三代ネットワークのひとつであり、米国でのオリンピック放映権を握っている「NBC」。東京五輪に引き続き、パリ五輪でもラッパーのスヌープ・ドッグを特派員に起用した。

NBCは東京五輪で記録的な低視聴率を叩き出し、大批判を受けた。パリ五輪では何とか視聴率アップを図ろうと、スヌープの役割を大幅に拡大している。

スヌープは、東京五輪では「ほとんど脇役」だった。しかし、パリでは聖火ランナーを務めたほか、トップアスリートと走ったり、泳いだり、フェンシングをしたり、さまざまなコンテンツに登場している。

また、スポーツの実況も務めており、バトミントンのような米国ではマイナーなスポーツも盛り上げている。決して専門的なことを述べるわけではないが、彼のコミカルな即興のリアクションはソーシャルメディア上で大きな話題を集めており、それについて米メディア「トゥデイ」は、「米国のスポーツファンが最後にバドミントンにこれほど注目したのはいつだっただろうか?」と報じている。

さらには、彼が応援席からチームUSAの選手を鼓舞する様子や、胸に手を当てて米国の国歌斉唱をする様子もバイラルになっており、五輪放送に独特の魅力をもたらしている。

オリンピックの主役はいつも「選手たち」であり、メディアはその選手たち、特にメダリストやスター選手に焦点を当ててきた。しかし、それだけでは視聴率の低迷に抗えなくなったいま、「NBCはあらゆる年代から最も認知かつ愛されているポップ・アイコンに期待を寄せている」と、米紙「ニューヨーク・タイムズ」は述べている。

かつては、実績のある記者や大衆に親しまれた朝の番組の司会者が主導していた米国のオリンピック放送だが、パリ五輪ではそのポジションで「国民的ラッパーが最も目立っている」。

現在52歳のスヌープ・ドッグ(本名カルビン・ブローダス)は、ギャングスタ・ラップという暴力的な日常をテーマにしたラップのジャンルを牽引したラッパーのひとりである。

本格的な音楽活動を始めた90年代から、これまでの約30年間のキャリアのなかで、彼は音楽だけでなくタレント、俳優、慈善家、起業家と活躍の場を広げてきた。

薬物関連の前科もある。しかし、その唯一無二のカリスマ性やマルチな才能、さらにはマリファナをこよなく愛し、陽気で親しみやすい性格は、ジャンルを越えて多くの人から愛されてきた。そんなエンターテイナーの彼には、「ポップカルチャーのアイコンとして幅広い年齢層への波及力がある」と評価されている。

NBCプロデューサーは「むしろ準備不足のほうがいい」と、同紙に語っており、スヌープの即興、余白を埋める力に信頼を置いているようだ。

実際、彼はNBCのリポーターらしいスーツ姿ではなく、「いつもの彼らしい」コーディネートで登場している。

スヌープは聖火ランナーという大役を任されたことについて、フランスが自分にそれを「許可」したことに少し驚きを表しながら「このうえない名誉です。夢にも思わなかった」と、英紙「ガーディアン」に語っている。

また、自身の人気については「人々が私のことを気に入ってくれるのは、(私が)自然で人間らしいからだと思う」。

スヌープの実況は、まるで「スポーツ好きのお父さんや親戚の叔父さん」といった、多くの人々にとっての身近な存在のようであり、そんな話し方に「人は繋がりを感じているのではないか」と、彼はニューヨーク・タイムズに述べている。

これまでのところ、パリでのスヌープの一挙一動がソーシャルメディア上で話題になっている。NBCの戦略はうまくいっているようだ。