イギリス各地で極右抗議が暴力沙汰に、90人以上逮捕

AI要約

極右支持者の抗議行動が暴動や騒乱に発展し、90人以上が逮捕される事態となった。

各地での暴力事件に対し、警察や市民が対抗し、治安を守るために努力を続けている。

移民反対やイスラム差別の声が高まる中、抗議行動は全国各地で広がっている。

イギリス各地で極右抗議が暴力沙汰に、90人以上逮捕

イギリス各地で3日、極右支持者の抗議行動が暴動や騒乱となり、90人以上が逮捕された。

イングランド北東部ハル、北西部リヴァプール、南西部ブリストル、北西部マンチェスター、北西部ブラックプール、北アイルランド・ベルファストなどで、大勢がびんを投げ、店舗に押し入り略奪し、警官隊を攻撃した。ただし、すべての集団が暴徒と化したわけではない。

キア・スターマー首相は、政府として各地の警察を「全面的に支援」し、「憎悪を広めようとしている」「過激派」にしかるべき行動をとると表明した。

首相報道官によると、3日に開かれた関連閣僚会議で首相は、「表現の自由と、これまで目にしてきた暴力的な騒乱は、まったく別物だ」として、「どのような暴力も言い訳は成り立たない」と強調。「国内の通りの安全を守るため、警察はあらゆる手段を尽くすし、政府はそれを支持する」と表明したという。

イギリスでは北西部サウスポートで7月29日に、幼い子供の集まるダンス教室が刃物を持った少年に襲われ、3人が死亡し多数が負傷した。この事件を機に、各地で主に男性たちが警察を攻撃したり、建物や車両を破壊したりしている。

サウスポートに近いリヴァプールでは、大勢が警察にレンガやびん、火炎筒などを投げつけた。投げられた椅子が頭に当たった警官もいた。オートバイに乗っていた警官が蹴られ、倒れる事案もあった。

こうした暴力に対抗し、数百人の反ファシスト抗議者たちが昼食時にリヴァプールのライムストリート駅の前に集まり、団結と寛容を呼びかけた。このグループは、「ここで移民は歓迎」、「ナチのくずども、通りからいなくなれ」などと連呼した。

暴力に抗議する人たちは駅からマージー川の河岸へ行進し、反移民やイスラム蔑視のスローガンを叫んでいた約1000人に対峙(たいじ)した。

警察犬をつれた機動隊は、二つの集団が接触しないように割って入るなどして、治安維持に努めた。機動隊に向けて、花火が発射されることもあった。

リヴァプール市内の騒ぎは4日未明まで続いた。

マージーサイド警察は、この「深刻な騒乱」によって複数の警官が負傷したと明らかにした。そのうち1人は鼻を、1人は顎を骨折した可能性があり、病院に運ばれたという。

警察によると、リヴァプールでの逮捕者は11人に上る。

南西部ブリストルでも、移民反対を唱えるグループと、それに対抗するグループが対立。「国を取り戻せ」という叫びと、「ここでは移民は歓迎だ」という叫びと共に、ビールびんなどが飛び交った。

現地警察によると、市内で14人が逮捕され、今後さらに逮捕者が増える見通しという。

北西部マンチェスターでは、集団が警察ともみあい、少なくとも2人が逮捕された。

北アイルランドのベルファストでは、イスラム教寺院(モスク)の外で集団が報道陣にものを投げつけたり、カフェの窓を割ったりした。警察によると、2人が逮捕されたという。

イングランド北東部ハルでは、亡命希望者の宿泊先として使われているホテルの窓が割られ、警官隊にびんや卵が投げつけられた。全英チェス選手権が開催中だった市役所は封鎖された。

さらに市内中心部の店舗が荒らされ、商品が燃やされるなどした。

現地警察によると、警官3人が負傷し、20人が逮捕された。

イングランド北西部ブラックプールでは、音楽フェスティバルのため集まったパンク・ファンと、移民に抗議する集団がもみあい、びんや椅子などが飛び交った。現地警察は、20人以上を逮捕したという。

イングランド中部ストーク・オン・トレントでは、集団が警官隊にレンガを投げつけた。逮捕者は10人に上り、警官3人が軽傷を負ったという。市内で2人が刺されたという情報があったものの、実際には投げられた物があたったのだと警察は説明。重傷ではないという。

不法移民反対などを唱える集団と、それに対抗する集団の抗議はほかにもみられた。ただし、すべてが暴力沙汰に発展したわけではなく、場所によっては抗議は夕方までに解散した。

2日夜には北東部サンダーランドで数百人がモスクの外で機動隊に向かってビールの缶やレンガを投げつけ、市民支援事務所に火がつけられた。襲われた警官4人が入院、これまでに12人が逮捕されたと報じられている。

(英語記事 More than 80 arrests made after far-right demonstrations turn violent)