ミャンマー軍政、訓練3ヵ月の新兵を最前線送り 「人間の盾」批判も

AI要約

ミャンマー軍事政権が徴兵した新兵を少数民族武装勢力との紛争地帯に送り込んでいる。経験の乏しい新兵を「人間の盾」として使用し、批判を受けている。

徴兵制が導入され、18~35歳の男性と18~27歳の女性が2~3年間兵役に就くことになっている。新兵は3カ月程度の訓練しか受けておらず、前線に配備されることもある。

少数民族武装勢力や民主派武装組織に対する攻勢が激化しており、国軍は兵員不足を補うために新兵の配備を行っている。

ミャンマー軍政、訓練3ヵ月の新兵を最前線送り 「人間の盾」批判も

 【バンコク稲田二郎】ミャンマー軍事政権が徴兵したばかりの新兵を、少数民族武装勢力らとの紛争地帯に送り込んでいる。第1陣として今月から約5千人を配備。ただ、新兵は3カ月程度しか訓練を受けておらず、国軍が経験の乏しい新兵を「人間の盾」にしているとの批判が出ている。

 軍政は今年2月に人民兵役法を施行し、徴兵制を導入。18~35歳の男性と18~27歳の女性を2~3年間兵役に就かせられるようになった。これまで計3回の徴兵で約1万4千人を招集。5月下旬にも4回目の徴兵があり、訓練基地に送られているという。

 当初、国軍は「新兵は前線に配備しない」と説明していたが、ある新兵の妻は米政府系の短波ラジオ放送局、ラジオ・フリー・アジア(RFA)に対し「夫から紛争地帯に配属されたと聞いた」と証言。「(説明と違って)夫が国境付近に送られたので心配している」と話した。

 RFAは、最大都市ヤンゴンの住民の声として「(徴兵された)若い男性が腕を撃たれたが、弾丸を取り除く手術を受けていない」「前線に送られた新兵のほとんどが殺され、その家族は給料すら受け取っていない」と報じている。

 新兵の主な配備先は、少数民族武装勢力や民主派武装組織「国民防衛隊(PDF)」が攻勢をかける東部カイン(カレン)州、北部ザガイン地域、西部ラカイン州とみられている。PDF関係者は「国軍が十分な訓練を受けていない新兵を『人間の盾』として前線に送り出している」と批判している。

 ミャンマーでは昨年10月、三つの少数民族武装勢力らが一斉蜂起。国軍は激しい攻撃を受けており、兵員不足が深刻化している。