安倍晋三「シンゾー・トランプ外交」の”内幕”を、最側近記者がいま明かす…! 安倍「猛獣使い外交」の舞台裏からいまこそ「学ぶべきこと」

AI要約

トランプ氏再登板に向けた世界の注目が高まっている。バイデン大統領が撤退し、ハリス副大統領が名乗りを上げる中、トランプ氏の求心力が高まっている。日本とトランプ氏の関係も過去の経緯を振り返りつつ、安倍氏による外交攻勢の重要性が示されている。

過去のトランプ氏との関係構築を通じ、安倍氏は日本の国益を守るための戦略を展開してきた。トランプ氏の大統領就任後も、安倍氏は対応策を立て、信頼関係を築き上げた。日本とアメリカの連携は、周辺国の影響力への対抗にも必要不可欠である。

安倍氏とトランプ氏の会談を経て、日本の外交戦略が米国の政策に取り込まれるなど、歴史的な成果を上げた。さらに、拉致問題への取り組みや北朝鮮政策の変化など、安倍氏とトランプ氏の連携が国際政治に与えた影響は大きい。

安倍晋三「シンゾー・トランプ外交」の”内幕”を、最側近記者がいま明かす…! 安倍「猛獣使い外交」の舞台裏からいまこそ「学ぶべきこと」

世界はすでにトランプ氏再登板を織り込み済みだ。今年11月の米大統領選からライバルのバイデン大統領が撤退し、ハリス副大統領が名乗りを上げ旋風を巻き起こしているが、それでも銃撃事件を経て求心力を高めるトランプ氏の優位は揺るがないとの見方が少なくない。

孤立志向のアメリカ第一主義を掲げるトランプ氏の奔放な言動にまたも世界は翻弄されるのか。日本は大丈夫か――。

実は2017年のトランプ氏の大統領就任前にも同じような懸念はあったが、当時の安倍晋三首相による外交攻勢で日米関係は良好となり、トランプ氏は日米首脳会談で「シンゾーだから日米関係はいい。シンゾーだから私は日本のためにやる」とまで言い放ったという“舞台裏”があったという。そんな安倍氏の“猛獣使い外交”の内幕を綴った話題の書『安倍晋三“最後の肉声” 最側近記者との対話メモ』(産経新聞出版)から、一部引用・再構成してお届けしよう。

米国の大統領が誰であれ、気が合おうと合うまいと、日本の首相は良好な関係を築かないといけない。

唯一の同盟国である米国との関係にひびが入ると、周辺国の中国、北朝鮮、ロシア、韓国はそれに付け込んでくるからだ。

安倍氏はトランプ氏が大統領候補として注目を集めていた16年4月、こう話していた。

「トランプ氏は本当にやばいな。米国はどうするんだろうね」

マスコミや評論家の間でもトランプ氏の登場への懸念はかなり浸透していた。

とはいえ、新たな事態が生じたら、いたずらに狼狽するのではなく、それを利用し、日本の国益に転じようとするのが安倍氏の真骨頂だった。

トランプ氏が大統領選に勝利した16年11月9日夜、日米同盟のあり方の見直しを要求された場合について安倍氏に聞くと、即座にこう答えた。

「日本の対米自立のきっかけにすればいい。できるだけ早い時期に会って、日米同盟の米国にとっての意義などを教えないといけない」

「トランプ氏は保護貿易的なことを言っているが、それが自分(米国)の首を絞めることもね」

安倍氏はその直後にトランプタワーでの会談に臨み、話題の大半を中国の脅威と問題点に費やし、手ごたえを得たようだった。国際電話の向こうからは弾む声が響いてきた。

「選挙中の彼とは別だということだね。信頼関係を絶対築けると確信した」

このトランプタワー会談こそが、それまでの米国の対中政策を融和路線から厳しい姿勢に転換させる第一歩となったことは言うまでもない。

それとともに、米国が歴史上初めて、日本の外交戦略である「自由で開かれたインド・太平洋」構想を自国の戦略として採用したのも、歴史的に評価されるべき実績だ。

安倍氏が、拉致問題が日本と自分にとっていかに重要かを繰り返し説いた結果、トランプ氏率いる米国の北朝鮮政策も大きく変わった。トランプ氏の前任のオバマ大統領が北朝鮮を「のびのびさせていた」(安倍氏)ため、同国の核・ミサイル開発は進み続けたが、トランプ氏が拉致・ミサイル問題解決プロセスの中に拉致問題を組み込んだのだ。

「トランプ氏は拉致問題に関してハートがあった」と安倍氏は振り返った。