強運トランプ、恐るべし…!「バイデン撤退」で鮮明になる民主党の凋落と、「トランプ圧勝」のウラで米国が染まる「アメリカファースト主義」の悲惨な実態

AI要約

現職のジョー・バイデン大統領が11月5日の米大統領選挙からの撤退を表明し、民主党内で波乱が続いている。

バイデン氏の後継候補としてカマラ・ハリス副大統領を支持しているが、大統領候補は未定。バイデンおろし運動が活発化し、その理由や影響が注目されている。

バイデンおろし推進派の主な議員はカリフォルニアとイリノイ州選出で、民主党最高指導部の狙いは議会のコントロールを維持することにある。

強運トランプ、恐るべし…!「バイデン撤退」で鮮明になる民主党の凋落と、「トランプ圧勝」のウラで米国が染まる「アメリカファースト主義」の悲惨な実態

今秋11月5日に投開票が行われる米大統領選挙は、7月21日に現職のジョー・バイデン大統領が撤退を表明し、波乱含みの展開が続いている。

今や81歳と後期高齢の域に入った現職バイデン大統領の職務遂行能力への疑念から、民主党内では「バイデンおろし」の動きが活発化していた。バイデン氏は後継候補としてカマラ・ハリス副大統領を支持しているが、誰が民主党の大統領候補となるか現時点では最終的に決定されていない。

いずれにせよ、今回のバイデン氏の決断は、選挙で民主党の大統領候補を勝利させることが一義的な目的ではない。

どういうことなのか。解説しよう。

バイデン氏の大統領選撤退の発表に先立つ数週間に、民主党内ではバイデンおろし推進派とバイデン続投派で意見が割れていた。続投支持は、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)をはじめ、アレキサンドリア・オカシオコルテス下院議員(ニューヨーク州選出)など進歩派の勢力が中心となっていた。

ところが、撤退表明前にバイデンおろしへ「加担」していた31人の下院議員と4人の上院議員たちの選挙区を見ると、面白い傾向が浮かび上がる。圧倒的にカリフォルニア州とイリノイ州選出の議員が多いからだ。

たとえば、バイデン大統領に撤退を求めたスコット・ピーターズ下院議員、アダム・シフ下院議員、マーク・レビン下院議員、ジム・コスタ下院議員、ジェアード・ハフマン下院議員、ゾーイ―・ロフグレン下院議員、マーク・タカノ下院議員など7人は西部カリフォルニア州選出である。

一方、同じくバイデン氏に候補から降りるよう要求したマイク・クイグリー下院議員、ブラッド・シュナイダー下院議員、エリック・ソレンソン下院議員、ショーン・キャステン下院議員、ヘスス・ガルシア下院議員の5人は中西部イリノイ州の選出だ。

これは、何を意味するのか。米政治サイトの「ザ・ヒル」は、カリフォルニアとイリノイの両州は民主党が圧倒的に強い場所であることに加えて、カリフォルニアはナンシー・ペロシ元下院議長のお膝元であり、イリノイはバイデン大統領の上司であったバラク・オバマ元大統領の地盤であることを指摘している。

そして、党重鎮のペロシ氏とオバマ氏は「バイデン氏のままでは民主党は勝てない」として、抵抗を続けるバイデン大統領の説得に当たっていた当事者なのだ。

つまり、これらの議員はペロシ氏とオバマ氏の意を体してバイデンおろしの急先鋒に立っていたと見ることができるのである。そして、民主党最高指導部の狙いは、大統領選と同時に実施される上下両院選挙で、米議会のコントロールを失わないことであったと考えられる。