グーグルが規制当局と争ってまで買収したい企業はクラウドセキュリティのスタートアップ(海外)

AI要約

グーグルが、過去最大の買収を行うために、サイバーセキュリティのスタートアップであるウィズを狙っている。

買収額は230億ドルで、AIの需要が高まる中、グーグルのクラウド部門を強化する狙いがある。

ウィズはクラウドコンピューティングのサイバーセキュリティに特化し、生成AI時代において重要な役割を果たす可能性がある。

グーグルが規制当局と争ってまで買収したい企業はクラウドセキュリティのスタートアップ(海外)

グーグルが過去最大の買収を行おうとしている。

ウィズというサイバーセキュリティのスタートアップが標的だと、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

この買収は230億ドル規模になると見られており、AIの需要が高まる中、グーグルのクラウド部門を押し上げようとしている。

グーグル(Google)は、過去最高額の買収に向けて準備を進めているようだ。標的とされているのはウィズ(Wiz)という創業4年のスタートアップで、この買収によりAI帝国は要塞のようにいっそう強固になものになる可能性がある。

ウォール・ストリート・ジャーナルは2024年7月14日、検索大手のグーグルがウィズを買収しようとしていると報じた。ウィズとはニューヨークを拠点とするスタートアップで、イスラエル軍の諜報を担当する8200部隊の元メンバーによって2020年に設立された。

買収額は230億ドル(約3兆6400億円)に上ると見られ、これはウィズにとって特別なものになるだろう。

OpenAIやAnthropicといったテック分野のスタートアップは、数十億ドルの投資を確保しようとAIの基盤モデルを誇示するが、創業間もないウィズはクラウドコンピューティングのサイバーセキュリティに特化している。

同社は、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)、LVMH、シェル(Shell)、マース(Mars)、ブラックストーン(Blackstone)などのクラウド上の業務のセキュリティ構築を支援してきた。

この買収が成立すれば、ウィズは生成AIの時代に前代未聞のことを成し遂げるチャンスを得ることになる。つまり、AI技術を前面に押し出すことなく評価額を拡大するということだ。企業価値120億ドル(約1兆9000億円)と評価され、5月に10億ドル(約1600億円)の資金調達を発表したウィズは、「クラウドセキュリティ」を中核に据えている。

しかし、AIの出現によってサイバーセキュリティが不可欠となった今、グーグルにとってウィズのサービスはクラウド運用の強化を約束するものとなる。

グーグルは、クラウド分野でアマゾン(Amazon)やマイクロソフト(Microsoft)などのライバルに後れを取っているが、生成AIブームの中、AIサービスとデータの構築、ホスティング、保守を支援するサービスを企業顧客から求められるようになり、多くのビジネスを獲得してきた。そのため、AI分野で躍進しようとする顧客の業務に対して、これまで以上に責任を負うことになった。

2024年度の第1四半期におけるグーグルのクラウド部門での売上高は、前年同期比28%増の96億ドル(約1兆5000億円)だった。生成AIの盛り上がりが下火になる兆候は見られないことから、同社にとってこの傾向は続くと予想される。