〔海外〕2024年6月の災害を振り返る

AI要約

2024年6月、サウジアラビアでのハッジ中に熱中症による死者が1300人以上発生。

エジプトからの参加者が多い中、無登録の参加者が砂漠を歩いて移動し、未登録者や行方不明者も多数。

同月、中国南部各地で大雨が相次ぎ、死者55人以上を出すなど被害が発生。

2024年6月に発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。

※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。

●6月

【自然災害】サウジアラビア 酷暑で大巡礼参加者1300人以上が熱中症により死亡

[被害]死者1300人以上

2024年6月14日から19日にかけて、サウジアラビア西部のイスラム教聖地メッカで行われたハッジ(大巡礼)中、熱中症による死者が1300人を上回ったとサウジアラビア政府保健相が国営テレビの番組内で明らかにした。同相は、死者の83%が無許可の巡礼者であるとした。また一部報道では、19日の段階で2000人以上が熱中症の治療を受けていたとの情報もあった。

メッカでは、5月17日の気温が51.8℃を記録し、死者の多くはサウジアラビア当局の許可を受けず、無登録で参加していた巡礼者とみられている。ハッジへの参加は事前登録制で、サウジアラビア当局の許可を受けてビザを得た巡礼者には医療サービスを提供していたが、無登録の参加者は当局の取り締まりを避け、炎天下にも関わらず砂漠を歩いて移動していた。

当初はサウジアラビア政府からの発表がなく、参加者の在住する各国政府が死者について発表していた。死者の半数以上はエジプトからの参加者とみられ、エジプト外務省は24時間体制で対策を行ったが、未登録者が多く状況の把握に時間がかかっており、行方不明者が死者のおよそ2倍に達するとの報告もあった。

現地では、家族が病院を回って連絡が取れない巡礼者を探しているほか、SNSでも情報提供を求める投稿が相次いだ。また、今回の事態を受けて、エジプト当局は無許可の巡礼渡航をあっせんした16の旅行業者の資格を取り消した。

ハッジはイスラム教徒の義務「五行」の一つで、財力と体力のある人が生涯に1度行うことが求められている。ハッジの時期は太陰暦のイスラム暦によって決まるため、今年は暑さのピークと時期が重なっていた。サウジアラビア巡礼省によると、今年は国内外から180万人以上が参加した。

【自然災害】中国南部各地で大雨

[被害]死者55人以上

2024年6月中旬から下旬にかけて、中国南部で大雨が相次いだ。6月16日には、広東省東部にある梅州市で12時間雨量が300ミリを超え、土砂崩れなどで、21日までに38人が死亡。20日には、景勝地として知られる広西チワン族自治州の桂林で、数十年に一度の洪水が発生し、少なくとも1人が死亡した。ほかにも、24日には湖南省長沙市で6月の1時間降水量が過去最高となるなど、各地で大雨が相次いだ。