「債務超過」の韓国石油公社が挑む東海探査、賭博か復活の信号弾か

AI要約

韓国石油公社は負債が資産より多い「完全債務超過」の状況にあり、朴槿恵政府の時に財務状況が悪化した経緯がある。

石油公社は設立当初の目的に沿った活動をしてきたが、失敗も多く、「大きな失敗が小さな成功を隠した」と評されている。

最近、東海深海ガス・石油ボーリング事業で再び注目を集めており、存在価値の再確認を図っているが、意見は分かれている。

 韓国石油公社は負債が資産より多い。「完全債務超過」に陥って4年目だ。朴槿恵(パク・クネ) 政府当時、費用削減などぜい肉を落としたが、財務状況は日増しに悪化した。一般の民間企業ならば早々に「存続不可」の判断を受けたはずだ。大規模な資本が必要な東海深海ガス・石油ボーリング作業の信号弾を打ち上げた石油公社の現在の財務状況だ。

 石油公社は1979年3月に設立された。設立当時の社名は「韓国石油開発公社」だった。1973年に本格化した第1次石油危機が設立の背景だ。産油国である中東諸国が石油輸出を制限し、石油の確保は国家安保事項に浮上した。石油公社の設立根拠である韓国石油開発公社法(1978年制定)が「石油資源の開発、石油の備蓄、石油流通構造改善事業を効率的に遂行し、石油需給の安定を図る」(1条・目的)で始まる理由だ。

■ 短い栄光、長い暗黒期

 設立以来約40年間、石油公社は法が与えた任務、すなわち設立目的に合致する活動をしたのだろうか。その成果はまたどうだったのだろうか。専門家たちは「大きな失敗が小さな成功を隠した」と寸評する。小さな成功としては1998年7月の東海6-1鉱区ガス田(2004~2021年まで生産)の発見が挙げられる。こうした成果に支えられ、政府の支援も相次いだ。数次の法改正を経て、法定資本金が3兆ウォンから13兆ウォン(約1.5兆円)まで増えたのが一例だ。李明博(イ・ミョンバク)政府(2008~2012)の時は、汎政府レベルで進められた「資源開発ドライブ」の主役になった。重要国政課題を引き受け「石油公社大型化方策」が政府レベルで推進された。

 栄光は長くは続かなかった。厳しい試練は、皮肉にも石油公社を国政の中心に引き上げた李明博政府の資源外交の失敗から始まった。「押し通し式」の資源開発の先頭に立った石油公社のずさんな事業と力量も丸ごと現れ、国民の不信も雪だるま式に膨らんだ。

 その様相は、朴槿恵政府時代の2015年に公開された監査院の報告書(「海外資源開発事業の成果分析」)に一部含まれている。「(確保した)石油は公企業参加持分の0.4%(220万バレル)に過ぎず、非常時の国内導入可能物量は国内一日消費量の2.2%(4.96万バレル)に過ぎない」「予想(3兆1200億ウォン支出)より9兆7000億ウォン増加した12兆8000億ウォンの現金が支出」「2015~2019年の現金収入も期待より14兆4000億ウォン不足する見通し」

 さらに衝撃的なのは、石油公社が成果を大きく見せるために虚偽報告した事実もあった点だ。代表的なものがイラク近隣のある鉱区の開発事業だった。投資費用だけで約7千億ウォン(2014年基準)が投入された大型事業だった。監査院は「海洋コンサルティング会社『プグロ・ロバートソン』は2008年6月に有望構造が発見されずリスクが高いと評価したが、石油公社は8箇所の鉱区の期待埋蔵量を72億2300万バレルと評価し理事会に報告した」と指摘した。

 こうした事実は、石油公社の立ち位置を狭めた。朴槿恵政府は43の部署を27に大幅に減らし、人員も256人削減した。財務リスクを減らすために賃金と福利厚生費に対する大々的削減も進めた。毎年行われる公共機関・政府出捐機関・公企業評価で石油公社は下位圏を這っていた。こうして石油公社は次第に国民の視線から遠ざかっていった。海外鉱区の持分確保などの買収合併(M&A)もその頃から姿を消した。

■ 賭博か復活か

 今年末に本格化する東海深海ガス・石油ボーリング事業は、石油公社を15年ぶりに再び世間の耳目の中心に立たせた一大事件だ。この事業の根になる「広開土プロジェクト」が2022年に樹立された点を念頭に置けば、石油公社の捲土重来は数年前から始まっていたことを意味する。石油公社はこの事業を「公社の存在価値」を再確認できる機会として受け入れる雰囲気だ。要するに組職の命運を賭けているという意味だ。

 石油公社のある高位関係者はハンギョレに「石油公社は石油探査・資源安保が基本任務だ。探査をしなければ存在価値がない」と述べた。先月7日、東海ボーリング作業関連の汎政府記者会見に参加した石油公社のクァク・ウォンジュン首席委員が「夢をあきらめられなかった」と話したのも同じ脈絡だ。

 存在価値を取り戻そうとする公社側のこのような「意志」とは別に、公社の「力量」を訝る見解が広まっている。組織の命運を賭けた賭博に出たのではないかということだ。12年間、エネルギー・資源外交分野を扱った共に民主党のイ・サンシク議員室の先任秘書官は「数兆ウォンに達する開発事業に責任を負う能力が石油公社にあるか検証されたことはない」と言い切った。石油公社在職経験のある資源開発分野のある専門家は「資源外交失敗のために人材・技術などの探査力量を育てることができなかったことが石油公社の現住所」と話した。ただし彼は「今回の事業が成功すれば石油公社としては新たな転機を迎えることになる」と話した。

チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )