値段急騰によってスペインで万引きが相次ぐ「黄金の液体」とは?

AI要約

スペインやイタリア、ギリシャなどの地中海沿いの国々でオリーブの収穫高が激減し、オリーブオイルの供給が不足。価格は世界中で高騰。

スペインではオリーブオイルの価格が過去4年間で4倍以上に上昇。不作による水不足と厳しい暑さが影響。

急激な価格上昇により、スペインではオリーブオイルの盗難が増加。犯罪組織による大規模な窃盗が問題に。

値段急騰によってスペインで万引きが相次ぐ「黄金の液体」とは?

ここ2年、干ばつと熱波に見舞われたスペインやイタリア、ギリシャなどの地中海沿いの国々では、オリーブの収穫高が激減している。そのため、この地域の食生活に不可欠なオリーブオイルの供給が不足し、価格も世界中で高騰している。

英紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、オリーブオイルの世界の年間需要は通常約320万トンだ。しかし、不作に見舞われた過去2シーズンの年間生産量は、240万トンに過ぎなかった。

なかでも、オリーブオイルの生産高が世界一のスペインでは、その価格は過去4年間で4倍以上になっている。水不足と厳しい暑さによる不作が続き、ここ1年だけでも価格は70%近くも跳ね上がった。

スペイン農務省によると、エクストラバージンオリーブオイルの卸売市場は、2020年2月末時点で、1キログラムあたり平均2.13ユーロだった。それが、現在では8.88ユーロになっている。消費者価格は、1キログラムあたり5ユーロから14ユーロと、3倍近くに値上がりした。

急激な価格高騰を受け、スペインではオリーブオイルの万引きが急増していると、フィナンシャル・タイムズは別の記事で報じている。

スペインで盗難防止製品を販売するSTCの調査によると、スーパーマーケットから最も多く盗まれている商品はオリーブオイルだという。しかし、それは生活に困った個人による万引きというわけではなく、犯罪組織による窃盗だと、同社は分析している。

オリーブの栽培農家やオリーブを搾油する会社も強盗被害に遭っており、すでに数万リットルの製品が盗まれた。犯罪組織は、これらを消費者に比較的安価に転売することで、利益を出そうとしているのだ。

なお、オリーブオイルの生産は、2022~23年のシーズンに前年の149万トンから、66万6000トンへと半分以下に一気に落ち込んだ。2023~24年にはやや回復して85万1000トンとなったが、価格はさらに上がった。

その背景にあるのは、世界的な価格高騰を受け、一部の生産国が輸出を禁止したことにある。2023年8月、トルコはオリーブオイルの輸出を大幅に制限し、10月にはシリアとモロッコもそれに続いた。