【コラム】最上位学生の大半が医師になる国は未来がない=韓国(2)

AI要約

2024年3月11日付のコラムで提案された、実損保険改編が必要であり、医療分野における過剰所得の規制も必要である。

医療改革特別委では、医師人材の拡充や地方医療への投資などが議論されているが、具体性が不足している。

過度な労働市場の格差が医師不足や出生率の低下など、様々な社会問題を引き起こしており、改善が必要である。

◆入れ墨・皮膚美容、他の専門家に認めるべき

このため2024年3月11日付のコラム「医療価性比悪化の共犯…自己負担金を50%以上に引き上げるべき」で具体的に提案したように、まずは大々的な実損保険改編が必要だ。また国民の健康に大きな価値を創出しないにもかかわらず必須医療分野より過度に所得が多い分野に対しては規制を通じて所得を減らす努力が必要だ。たとえば現在は医師だけが可能な入れ墨は実際にはほとんど専門の彫り師が担当している。これと似たリスク水準の皮膚美容分野は別の資格証を持つ専門家が遂行できるように道を開かなければいけない。

政府は医学部の定員拡大を進めながら「必須医療パッケージ」を提案し、この内容は医療改革特別委で議論中だ。最近、国会聴聞会で政府の医師定員拡大政策が十分でないという指摘があった。必須医療パッケージには医師人材の拡充、医療伝達体系の改善、地方医療への投資、医療事故の負担緩和、必須医療補償体系の強化、実損保険-美容医療管理改善などが含まれている。正しい方向だが、宣言的な内容にすぎず、まだ具体性が欠如している。

実際、こうした内容の大部分は医療界も主張してきたことだ。医療界が医療改革特別委の医師枠が少ないという理由で参加を拒否するのは適切でない。むしろ医師団体は政策の窓が開かれた今、積極的に参加して声を出さなければいけない。そして政策の最終決定は現場の医師の意見に耳を傾けるものの、国民の健康と経済に及ぼす影響を総合的に考慮して進めなければいけない。

◆労働市場の過度な格差から減らすべき

もう一度、労働市場の過度な格差に戻ってみよう。医師専攻別の過度な格差のため必須医療の危機を迎えた。医師と理工系専攻者の報酬の過度な格差のため医学部集中現象および科学技術者不足の危機を迎えた。大企業と中小企業の勤労者の格差も拡大し、正規職と非正規職の格差も解消される兆しがない。極限競争と過度な私教育費支出に要約される異常な教育の根本原因がここにある。

最近、キム・ソンウン世宗大教授とヨム・ミンチョル英サウサンプトン大学教授は経済学最高ジャーナル「アメリカンエコノミックレビュー」で、韓国の過剰競争とこれによる無理な私教育費支出が出生率を28%も減少させたことを明らかにした。0.7水準の出生率が1.0になる可能性があるということだ。

労働市場の過度な格差が大韓民国に病をもたらしている。しかも大韓民国は労働市場で大学の看板の影響が依然として大きい。大学修学能力試験の点数のわずかな差のため、人生全体において経済的な豊かさの差が過度に大きくなるのは公正でない。これを改善できなければ大韓民国の未来は暗い。

キム・ヒョンチョル/香港科学技術大経済学科・政策学科教授