韓国が境界線付近での海上射撃訓練再開 南北合意による停止から7年

AI要約

韓国の海兵隊が南北軍事合意を受けて7年ぶりに北西島しょでの海上射撃訓練を再開した。

北朝鮮が南北軍事合意を破る行動を取ったことを受け、韓国政府は軍事訓練の再開を決定した。

海兵隊の海上射撃訓練再開により、NLL付近での軍事的緊張が高まる可能性がある。

【ソウル聯合ニュース】韓国の海兵隊が26日、2018年の南北軍事合意を受けて中止していた北西島しょでの海上射撃訓練を約7年ぶりに再開した。

 海兵隊司令部によると、西北島しょ防衛司令部の海兵隊第6旅団と延坪部隊が黄海上の軍事境界線にあたる北方限界線(NLL)に近い白○(○=令に羽)島と延坪島でそれぞれ海上射撃訓練を実施した。第6旅団と延坪部隊は自走砲K9や多連装ロケット、ミサイル「スパイク」、70ミリ誘導ロケットなど計290発を南西の公海上の標的に向けて発射した。

 K9などを動員した北西島しょでの海上射撃訓練は2017年8月を最後に行われていなかった。18年9月の南北軍事合意によりNLL付近の海上緩衝区域内での射撃が禁じられ、海兵隊はK9などを内陸に運んで射撃訓練を実施してきた。

 今年1月5日、北西島しょで海上射撃を行ったが、当時は北朝鮮が緩衝区域内で海上射撃を実施したことへの対抗措置だった。

 海兵隊は今回の訓練について、「全地球測位システム(GPS)妨害のための電波発信、ミサイル発射など北の挑発により軍事合意の効力を停止してから初めて実施される北西島しょでの海上射撃訓練」と説明。「きょうの訓練後も定例の海上射撃訓練を行い、海兵隊の火力運用能力の向上や軍事対応体制の完全性の向上を進める」と明らかにした。

 韓国政府は今月4日の閣議で、北朝鮮が韓国に向けてごみなどをぶら下げた「汚物風船」を飛ばし、GPS妨害電波を発信したほか、弾道ミサイルの発射を続けたことを受け、南北軍事合意の効力停止を決めた。同日、軍当局は合意によって設定された陸上・海上の緩衝区域内での部隊や艦艇の機動訓練や砲射撃訓練の再開を決定した。今回の訓練は合意で禁じられた軍事訓練のうち、初めて再開されたものになる。

 NLLを認めず、NLLの南側を管轄の海上区域に設定した北朝鮮はNLL付近でのK9などによる射撃訓練に敏感に反応してきた。10年11月23日には延坪部隊のK9射撃訓練を口実に延坪島に122ミリロケット砲や海岸砲で砲撃を行った。

 今回の訓練再開により、NLL付近で軍事的な緊張が高まる可能性がある。西北島しょ防衛司令部は「今回の訓練は定例的、防衛的な訓練であり、国連軍司令部の軍事休戦委員会の参観を受け休戦協定を順守する中で事前に航行警報を発令するなど正常な手続きを経て行われた」と説明した。