ロシア大統領の訪朝が秒読み…プーチンは北朝鮮武器狙い、金正恩は「左ロ右中」布石

AI要約

プーチン大統領が北朝鮮訪問を控え、軍事的、政治的、宇宙技術、経済的取引が具体化される可能性がある。

ロシアと北朝鮮の関係が強化される中で、朝ロの結託が韓半島と北東アジアに影響を及ぼす可能性が高まっている。

韓国は朝ロの動向に慎重に対応し、韓中協力や安保対話を拡大する必要がある。

ロシアのプーチン大統領の北朝鮮訪問が秒読みに入った。韓国政府が北朝鮮訪問を公式確認しながら「予定された日程」とした。プーチン大統領は3月の大統領当選以降、中国、ベラルーシおよびウズベキスタン訪問に続いて4番目の訪問国に北朝鮮を選択した。モスクワが評価する北朝鮮の戦略的価値を察することができる。昨年9月に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長がボストーチヌイ宇宙基地でプーチン大統領の訪朝を強く要請したことに対する応答だ。先代の金正日(キム・ジョンイル)総書記との首脳会談のために北朝鮮を訪問した2000年とは状況が異なる。24年が経過した今、北朝鮮は核兵器保有国となり、ロシアに1年以上もミサイルを供給するほど威勢がある。隔世の感を禁じ得ない状況でプーチンはなぜ平壌(ピョンヤン)に行き、金正恩とどんな議論するのか。2人の妙な対面が韓半島(朝鮮半島)および北東アジアに及ぼす影響は何か。首脳間の密着による細部取引内訳は次の通りだ。

1つ目、軍事的取引だ。ロシアのウクライナ侵攻で北朝鮮の通常兵器が人気商品になった。過去70年間にわたり通常兵器生産国だった朝鮮民主主義人民共和国の戦略的価値が急騰し、北朝鮮外交の満潮期が形成された。その間、苦難の核開発で軍事同盟関係の中国はもちろんロシアとも関係が順調でなかった北朝鮮は、北東アジアの国際政治で異端児だった。国内政治が生き物であるように国際政治も停止しない。ロシアは北朝鮮の戦略的価値が上がるにつれて姿勢を変えた。北朝鮮としては中ロを背にして韓米日に対応する新冷戦構図の形成に注力している。朝ロ首脳間の連結のきっかけはウクライナ戦線に投下される北朝鮮の通常兵器だ。プーチンが北京の次に平壌(ピョンヤン)を訪れる核心の理由だ。長期戦となったウクライナ戦線で北朝鮮製のミサイルと砲弾はロシア軍に必須武器となった。軍事力拡充のための生存型密着だ。

2つ目は政治的取引だ。首脳会談では1961年に旧ソ連と北朝鮮が締結した「朝ソ協力および相互援助に関する条約」の精神を継承する協定が議論されるだろう。当時の条約には「自動軍事介入条項」が含まれていたが、1990年の韓ソ修交後は条約を延長せず、1996年に破棄された。北朝鮮は1961年の朝中友好条約だけでは韓米日に対応するのに限界があるという判断だ。ロシアと軍事自動介入条項を含む新友好条約の締結で左ロシア、右中国という外交の枠を構築しようとする。ウクライナ戦争終了後にロシアの武器特需が終わる場合に備えた長期的な同盟布石だ。ロシアは3月、国連安保理北朝鮮制裁委員会の専門家パネルの活動を中断させた。犯罪者を追跡する監視カメラを消して北朝鮮の鎖を解いた。ロシアとの新友好条約締結は北朝鮮の軍事的挑発に油を注ぐようなものだ。ロシアの後ろ盾を信じた通常兵器挑発はもちろん、核兵器に言及するプーチンの発言に刺激され、核の脅威が高度化する可能性も排除できない。

3つ目は宇宙航空大陸間弾道ミサイル(ICBM)技術取引だ。北朝鮮が先月27日に打ち上げた軍事偵察衛星2号機は発射2分後に爆発した。金正恩は追加の挑発を予告したが、カギは技術だ。北朝鮮は6カ月間、従来の白頭山(ペクドゥサン)エンジンから燃料・酸化剤を変えた新しい大型エンジンに取り組んできたが、失敗した。金正恩がボストーチヌイ宇宙基地で大型エンジンに関心を見せ、無理なエンジン変更を進めたのだ。脅威の強度を高めようとロシアの大型ロケットを無条件に真似て問題が生じた。ロシア技術陣を盲信したのか、最初から無謀な試みだったのかはミステリーだ。北朝鮮はロシアから技術移転を受けるのか、それとも完成品エンジンを丸ごと受けるのか、ロシアと緊密に協力する部分だ。このほか原子力潜水艦、戦闘機も北朝鮮の関心品目であり、両国間の軍事協力の制度化が最終目標だ。

最後は経済的取引だ。北朝鮮は中国から食料・物資支援など経済的実利を得ながら北京の政治的路線を追従する宗法的な関係だった。しかしコロナ事態で朝中の国境が閉鎖された後、正常化していない。中国で働く約10万人の北朝鮮勤労者の帰国と再入国がまともに進んでいない。4月に中国共産党序列3位の趙楽際・全国人民代表大会常務委員長が平壌を訪問して金正恩に会ったが、流れは変わっていない。北朝鮮は中国に代わる経済的後見国としてロシアカードを取り出した。観光、軽工業、農業投資および北朝鮮勤労者のロシア派遣などが核心の議題だ。

朝ロの結託と密着は韓半島と北東アジアに冷たい北西風を吹かせるだろう。大韓民国の平和と安定に決して役に立たない。プーチンは6月5日、ウクライナに武器を直接支援していない韓国に対し「感謝している」とし、韓ロ関係を回復する準備ができていると明らかにした。しかし「他人がどう考えようと、我々は隣国の北朝鮮との関係を発展させる」とて朝ロ密着の立場に釘を差した。朝ロの密着は韓国の安保不安に新たな変数となる可能性が高い。一次的に朝ロの結託が朝中ロに拡大しないように韓中協力を強化しなければいけない。ロシア接近に心中穏やかでない中国との2プラス2外交・安保対話で対抗するべきだろう。朝ロの軍事協力がレッドラインを越えないよう韓ロ戦略対話の模索も求められる。生きて動く韓半島チェス盤に対応する敏捷な動作が必要な時だ。