「彼女が言うんだ。もう大丈夫だって」優しく哀しい死刑囚が見た夢

AI要約

南部の牧師が死刑囚との出会いから得た経験を通して、差別や司法の問題について考えるようになる。

弁護士の質の問題や未解決の無実の被告の話が続き、差別が死刑執行に大きな影響を与えていることが浮き彫りになる。

黒人や貧困者がより不利な立場に立たされている現実を目の当たりにし、不正義に立ち向かう姿勢を示す。

「彼女が言うんだ。もう大丈夫だって」優しく哀しい死刑囚が見た夢

私は米南部ノースカロライナ州出身の白人の牧師だ。1970年代前半にニューヨークのユニオン神学校に通い、あるプログラムのためにイーストハーレムで活動した。

最終学年時に、ブロンクス拘置所に収監されている人々を訪ねた。この経験は私の人生を大きく変えた。

その後、南部の教会が行っているプログラムにボランティアで参加するため、テネシー州ナッシュビルに戻った。74年にテネシー州立刑務所で活動を始め、死刑囚との面会プログラムを立ち上げた。これが全ての始まりだった。

5月に出版した『炎に近づきすぎて(Too Close to the Flame)』に、私は死刑囚たちとの出会いを書いた。その1人が、フロリダ州のジョン・スペンケリンクだ。

ジョンは殺人を犯したが、正当防衛だった。死刑判決を受けたのは、最悪の弁護士が付いたからだ。死刑囚の大半は自前で弁護士を雇う余裕がないため、公選弁護人が付く。彼らはそれほど有能ではない。

私たちのグループは、79年春に当時のフロリダ州知事ボブ・グレアムに会い、ジョンの恩赦を求めた。しかし知事は死刑執行令状に署名し、ジョンは処刑された。

死の直前に手を振った彼

私はその後10年間、ジョンがいたのと同じ死刑囚監房に収監されている黒人のウィリー・ダーデンを訪ねた。彼は無実を主張し続けていた。やはり弁護士が無能だったのだ。

私たちはウィリーの無実を示す証拠を見つけ、法廷に提出しようとした。彼の刑の執行は何度も差し止められていたが、州知事が7通目の死刑執行令状に署名し、ついに処刑された。

フロリダの田舎の法廷で周りを見ると、黒人は自分だけだったとウィリーは話していた。「俺はミルクボウルの中の一粒のレーズンみたいだった」。彼に勝ち目はなかった。

テネシー州のフィリップ・ワークマンには、警察と検察にはめられた証拠があった。彼らはフィリップを警官殺しの犯人だとしたが、銃の弾道に関係する証拠は彼が犯人ではないことを示していた。

ウェンディーズで強盗を働いたフィリップを逮捕しようとして、別の警官が仲間を誤って撃った可能性が高かった。だが2007年5月、フィリップの刑は執行された。