プーチンの「影の戦争」開始の合図…日本に潜むロシアや中国の「スリーパーセル」が目覚めるとき

AI要約

欧州各地でロシアが仕掛けたとみられる放火事件や破壊工作が相次いでいる。ポーランドや英国、ドイツなどで発生した事件がロシアの関与が疑われており、それぞれで容疑者が逮捕されたり起訴されたりしている。

北極海でもロシアの船団が偽装船を使いスウェーデンやノルウェー、デンマーク、さらには英国沖まで至るまで活動している。また、ロシアは欧州各国に対して情報活動や工作活動を行っており、影響力を広げようとしている。

ロシアは世界各地に配置していた秘密工作員を動員し、組織的な破壊工作を展開している。これは西側にとって未知の脅威であり、深刻な安全保障上の問題となっている。

プーチンの「影の戦争」開始の合図…日本に潜むロシアや中国の「スリーパーセル」が目覚めるとき

 欧州各地でロシアが仕掛けたとみられる放火事件や破壊工作が相次いでいる。ロシアは「影の戦争を開始した」という見方が有力だ。「イランが代理勢力にイスラエルを攻撃させている手法を真似た」という指摘もある。隣に中国や北朝鮮を抱えた日本は大丈夫か。

 ポーランドの首都、ワルシャワにあるショッピングセンターで5月12日早朝、大火災が起きた。この火事で約1400店の店舗が入る施設の8割が全焼した。ポーランドでは、放火や破壊工作事件が相次いでいた。政府は調査委員会を設置し、これまでにロシアが背後にいた事件の関係者12人を逮捕している。ショッピングセンター火災についても、政府は「ロシアが関係している」とみている。

 英国のロンドンでも、ロシアが関係したとみられる火災が起き、検察当局は逮捕した容疑者4人を起訴した。ドイツでは、米軍基地を含む複数の施設を対象に破壊工作を計画していたドイツ系ロシア人ら2人が逮捕された。

 ロシアの関与が疑われる事件は地上にとどまらない。

 北極海では、トロール漁船や研究調査船に偽装したロシアの船団がスウェーデンやノルウェー、デンマーク沖を航海し、英国沖にまで達していた。この船は場所を特定できないように送信機をオフにして、機関銃を持った武装兵が乗り込んでいた。

 昨年から破壊工作が続き、10人の容疑者を逮捕したエストニアのカヤ・カラス首相は2月、米CNNに「我々の社会に対して『影の戦争』が起きている。ロシアの目的は我々の民主的決定に影響を与えることだ」と語った。

 5月30日付けのガーディアンは、こうした欧州全域での破壊工作が、すべて調整された企てという証拠はないが「情報機関は、ウクライナを支援する西側を不安定にするロシアの試みの一環とみなしている」と報じた。

 カタールのメディア、アルジャジーラは5月29日、ロシアは世界各地に配置していた「スリーパーセル」と呼ばれる秘密工作員を動員して「組織的な破壊工作を展開し始めた」という記事を配信した。記事にコメントした安全保障専門の大学教授によれば、「これは戦後、西側が経験したことのない初めての事態」という。