韓国権益委、大統領夫人の「ブランドバッグ」法理検討のみ…野党に対する調査と対照的

AI要約

国民権益委員会は、大統領夫人のブランドバッグを巡る問題について調査がずさんであったことが批判されている。

権益委は不十分な資料を元に議論を行い、結局は終結処理を決定した。

権益委の対応が他の調査とは異なることも問題視されており、具体的な調査内容の開示を求める声があがっている。

韓国権益委、大統領夫人の「ブランドバッグ」法理検討のみ…野党に対する調査と対照的

 国民権益委員会(権益委)はチェ・ジェヨン牧師から大統領夫人のキム・ゴンヒ女史が受け取ったブランドバッグについて、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の職務とは無関係だと判断したが、このような結論を導き出した肝心の調査はずさんだったことが明らかになり、批判が広がるものとみられる。野党の推薦した公共放送の理事の請託禁止法違反行為に対する申告の際には、広範な「現場調査」まで行って攻勢的に措置したこととは対照的だというのも批判の的だ。権益委が申告処理の法定期限をはるかに超える6カ月あまりの間に、何をどのように調査したのかを問うべきだとの批判の声があがっている。

 11日のハンギョレの取材によると、権益委が今月10日の全員委員会で、尹錫悦大統領夫妻とチェ牧師の請託禁止法違反行為などについての申告の処理を議論した際、15人の権益委員に与えられた40~50ページの資料の内容は、法理解釈に関するものがほとんどだったという。尹大統領夫妻やチェ牧師に対する書面または対面による調査など、権益委が確認して追加した事実関係も特になかったという。キム女史が受け取った300万ウォン(約34万円)相当のディオールのバッグは、尹大統領の職務と関係があるのか、尹大統領はキム女史のブランドバッグ受け取りを知って法的な届け出義務を果たしたのか、などの核となる争点を判断するための基礎的な事実関係も与えられなかったということだ。

 権益委員たちは「不十分な資料」をもとに、この事案を捜査機関に移牒すべきかについて1時間30分以上論争を繰り広げた。結局は表決に付され、「終結すべきだ」という意見が過半数(15人中9人)を占めた。

 市民団体「参与連帯」の行政監視センター所長を務めるチェ・ヨンムン弁護士は、この日の権益委前での糾弾記者会見で、「権益委は尹大統領が書面で届け出たのか、問題の金品をどのように処理したのかなどを調査すべきだった。金品提供者であるチェ・ジェヨン牧師も請託目的だったと明かしているのだから、調査すべきだった」とし、「にもかからず権益委は、参与連帯が申告してから6カ月が過ぎてもどのような調査をおこなったのか明らかにせず、終結処理してしまった。何をどのように調査したのか具体的に明らかにしてほしい」と述べた。

 権益委の態度が野党関係者の違法行為に対する調査とは異なるということも、問題として指摘されている。権益委は昨年7月、保守系の韓国放送(KBS)労働組合が申告したKBSのナム・ヨンジン理事長の法人カード不正使用について、申告からわずか2業務日後に現場に調査官を派遣して調査をおこなっている。当時、チョン・ヒョンヒ権益委員長は、「非常に異例の措置で、職権乱用の素地がある」と公開の場で批判してもいる。文化放送(MBC)の筆頭株主である放送文化振興会のクォン・テソン理事長とキム・ソクファン理事の請託禁止法違反が申告された際にも、権益委は異例の現場調査をおこなっている。この過程で事実上の強制捜査となる資料提出要求などが相次いだため、「違法だ」との批判があふれた。

シム・ウサム記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )