マスク氏、訴訟取り下げ オープンAI巡る商業利用を批判
イーロン・マスク氏とオープンAIの訴訟が取り下げられた。
マスク氏はオープンAIの設立理念に反して営利企業になったとして訴えていたが、理由は不明。
マスク氏はAIの危険性を訴えつつも、自らもAI企業を設立している。
米実業家のイーロン・マスク氏は11日、対話型人工知能(AI)「チャットGPT」を手掛ける米新興企業オープンAIと、同社のサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)に対する訴訟を取り下げた。理由は明らかになっていない。設立理念に反し営利企業になっているとして2月に米西部カリフォルニア州の裁判所に訴えていた。
マスク氏は2015年設立のオープンAIの共同設立者だが、路線対立で18年に取締役を離れた。訴訟では、公共の利益に貢献するとの理念に共鳴して寄付したという計4400万ドル(約69億円)以上の資金の返還などを求めた。ただ、専門家からは「原告の適格性がマスク氏にはない」(米大学教授)などと訴訟自体を疑問視する見方も出ていた。
オープンAIは3月、マスク氏の主張を全面否定する声明を出し、訴訟の棄却を求めていた。
マスク氏はAIの危険性を訴え、商業利用を目的としたオープンAIのマイクロソフトやアップルとの提携を批判している。ただ、自らも23年7月にAI企業「エックスAI」を設立している。【ワシントン大久保渉】