右派はもはや「異端」ではない 欧州がますます右傾化している原因とは?

AI要約

欧州議会選挙が各国で行われ、右派政党の躍進が報じられている。

移民問題や経済などが右傾化の要因として挙げられている。

過去10年間で右派政党の影響力が拡大し、社会に根付いてきた。

右派はもはや「異端」ではない 欧州がますます右傾化している原因とは?

欧州議会選挙の投票が、6月6日から9日にかけて加盟27ヵ国でおこなわれた。

そもそも欧州議会とはEUの立法機関のことだ。加盟国の代表からなる「閣僚理事会」と共に、さまざまな政策分野の立法権を持つ。

議会の最も重要な役割は、EUにおける新しい法律を審査し承認することだ。

欧州議会の定数は720議席だ。EU27ヵ国の市民が、各国の代表となる議員を5年ごとに直接選挙で選ぶ。

当選した議員は出身国にかかわらず、各自の政治思想や信条に基づき、欧州議会の会派に加わって活動する。

今年の欧州議会選挙では、各国の極右政党が躍進した。EUは右傾化しているということだ。

たとえばフランスでは、エマニュエル・マクロン大統領率いる与党連合に対し、極右政党の「国民連合」が大勝した。ドイツでも、オラフ・ショルツ首相率いる社会民主党よりも、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が多くの議席を獲得している。

だが米メディア「ヴォックス」は「欧州政治を注意深く見守ってきた人にとって、欧州連合の右傾化はそれほど驚くべきことではない」と指摘し、次のように報じる。

「今回の選挙結果はむしろ、著名な極右政党が議会で議席を獲得した例証よりも、右傾化がより長く複雑な形で続いていることを浮き彫りにしている」

右派政治家への投票が顕著に増えているのはドイツやフランス、オランダ、スペイン、イタリアなどで、その原因の一つに移民問題が挙げられる。より厳しい政策を約束すれば有権者の支持を得られるため、中道派の政治家もさらに右傾化しているのだ。

その他の主要な原因としては経済、生活費、防衛、環境問題が影響している。

「2013年にドイツのAfDが発足して以来、ヨーロッパでは右派政党が着実に影響力を拡大してきた」とヴォックスは報じている。

第二次世界大戦後のヨーロッパにも右派政党は存在していたものの、それらは極めて「異端」とされ、ファシズムやナチズムと深く結びついたものと考えられていたという。

だが過去10年間では特に大戦の記憶が遠のき、ヨーロッパは移民制度の失敗や、新型コロナのパンデミックなどの危機に直面してきた。そうして次第に右派政党が根付く余地が生まれ、社会のなかで馴染んでいったわけだ。