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欧州議会選、極右が躍進 親EU会派は過半数維持
欧州連合(EU)の欧州議会選は極右勢力の躍進や中道派の痛手を示し、フランスとドイツでは総選挙が発表された。一方、イタリアでは右派が首位に立つ見通しとなった。
議会での右傾化が進むことで、新たな法律の制定が難しくなる可能性があり、安全保障や気候変動への対応に遅れが生じる可能性がある。ただし、各政党が連携し、ユーロ懐疑派の発言権をどこまで強化できるかが重要となる。
有権者の右傾化には生計費上昇、移民問題、グリーン移行コスト、ウクライナ戦争などの要因がある。その結果、親EUの中道右派や緑の党などは議席を減らす可能性がある。
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Jan Strupczewski Sudip Kar-Gupta Ingrid Melander
[ブリュッセル 9日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州議会選(定数720)は9日、大勢が判明し、極右勢力が躍進した。これを受けフランスのマクロン大統領は仏国民議会(下院)の解散総選挙を発表。EUの政治的な先行きが一段と不透明になった。
親EU会派が引き続き過半数を維持する見通しだが、今回の選挙結果はフランス、ドイツ両政府にとって痛手となった。
マクロン氏は6月30日に総選挙の第1回投票を実施すると表明。ドイツのショルツ首相も、自身が率いる与党・社会民主党(SPD)が過去最悪の結果となり、中道右派や極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」に敗れた。
一方、出口調査によると、イタリアではメローニ首相率いる右派「イタリアの同胞」が首位に立つ見通し。
欧州議会の右傾化が進めば、新たな法律の制定が難しくなり、安全保障問題、気候変動、米中との産業競争への対応が遅れる可能性がある。
ただ、ユーロ懐疑派がどこまで発言権を強化できるかは、各政党が見解の相違を乗り越えて連携できるかにかかっている。
出口調査によると、議会では中道右派の「欧州人民党(EPP)」が5議席増の189議席と、最大会派となる見通し。
EPPのフォンデアライエン欧州委員長は「EPPなしに多数派を形成することはできない。私たちは左派と右派の極端な勢力に対抗するとりでを築く」と語った。
出口調査によると、ユーロ懐疑派の「欧州保守改革(ECR)」、「アイデンティティーと民主主義(ID)」、会派に属さない極右政党の議席は19増の146議席。
親EUの中道右派、中道左派、リベラル、緑の党は456議席と、過半数を維持する見通しだが、現状の488議席から大きく議席を減らすとみられている。
専門家は、有権者の右傾化が進んだ背景には生計費の上昇、移民に対する懸念、グリーン移行のコスト、ウクライナ戦争などがあると分析している。