中国・最近の「博物館ブーム」はなぜか

AI要約

5月18日は国際博物館の日で、今年のテーマは「学びと研究のための博物館」だった。

中国では若者の間に「博物館熱」が広がり、博物館への関心が高まっている。

中国の「博物館熱」は博物館の重要性を再認識させ、文化交流においても重要な役割を果たしている。

中国・最近の「博物館ブーム」はなぜか

【東方新報】5月18日は国際博物館会議(ICOM)が定めた「国際博物館の日」だった。今年のテーマは「学びと研究のための博物館」であった。

 日本博物館協会をはじめとする関係団体は2002年から、この日に合わせて博物館の無料開放などの活動を展開している。

 近年、中国では若者の間に「博物館熱」の波が押し寄せている。中国の情報プラットフォームの統計によると、博物館情報に関心を示す人たちの総数のうち18歳から30歳までの人数が50パーセント近くを占めていた。

 また中国の大学生を対象とした22年度の調査では、回答者の89.72パーセントが博物館に行ったことがあり、42.04パーセントが年に1、2回は博物館に行くという結果となった。

「国際博物館の日」に際し、「ICOMアジア太平洋地区連盟」の安来順(An Laishun)会長から、彼の目から見た「博物館熱」と文化交流における博物館の意義について話を聞いた。

 安氏は「中国は過去20年間、世界で最も急速に博物館の数が増加した国で、過去10年間、毎年新たに登録された博物館の数と、過去5年間、毎年博物館が開催した展覧会の数は、いずれも世界のトップクラスにランクされている。海外の博物館関係者は、中国の博物館は今『爆増の時代』に入っていると見ている」と話した。

 また、安氏は、この中国の「博物館熱」は、公共文化施設としての博物館の特性を再認識する機会を、全ての博物館関係者に与えていると指摘する。安氏は、中国の「博物館熱現象」の背景には多くの要因があるという。

 国家レベルにおいては、中国は現在「文化強国」の建設を推進しており、博物館のハードとソフトのレベルは大幅に向上している。

 博物館関係者の側から見れば、文化遺産の価値に対する人びとの認識が絶えず向上し、豊富な内容と現地に密着した興味を引く展示や教育プログラムが数多く企画され、従来の博物館に対する比較的硬く固定的なイメージが変化し、より多くの人びとから関心を持たれている。

 利用者の視点から見ると、多くの若者が美術館に足を運ぶ現象は特に代表的で、これは若者が質の高い精神生活を求める自然な要求といえ、彼らは伝統文化の中から本質的な価値をくみ取り、創造的なインスピレーションを得ることを望んでいるためだと考えられる。

 また安氏は「もちろん、『博物館熱』はそのボーダーラインにも注意を払うべきだ。博物館が一種の総合エンターテイメントとして矮小化されたり、さらには単なる目を楽しませるための商品として扱われたりすることは、してはならない。深遠な文化的な内容を提供し、それを育む者としての側面を、さらに強調すべきだ」と注意を促す。

 異文化交流において、博物館は「民間大使」の役割も果たす。

 文化遺産は、各国の歴史的・文化的発展の最も直接的な証である。文化遺産は、人びとの自国の優秀な文化的伝統への帰属意識を一つにし、「我々は何者なのか」「我々はどこから来たのか」といった根源的な疑問に対する答えを見つける手助けができる。さらに、文化遺産は、過去、現在、未来をつなぐ架け橋になり、異文化をもつなぐ懸け橋でもある。

 博物館によって世界中の文明が交流し、互いに学び合うことで、異なる国の人びとが互いを知る新しい道が開かれるのである。安氏はこのように考えている。(c)CNS/JCM/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。