インタビューの内容を都合よく切り抜かれて…かつて英雄と呼ばれた誇り高き女性が数多の裏切りによって迎える「悲惨すぎる末路」

AI要約

マリーナ・オフシャンニコワはウクライナ戦争勃発後、ロシアの政府系テレビ局に抗議し反戦ポスターを掲げる行動を起こし、それをきっかけに迫害を受けることとなる。

彼女は政府のプロパガンダに加担してきたが、自らの信念に反する行動に踏み出し、ジャーナリズムの戦いに身を投じることになる。

ウクライナのメディアでのインタビューを通じて、自らの立場やクレムリンの策動について説明しようとするが、インタビューが実現しない状況に直面する。

インタビューの内容を都合よく切り抜かれて…かつて英雄と呼ばれた誇り高き女性が数多の裏切りによって迎える「悲惨すぎる末路」

 「NO WAR 戦争をやめろ、プロパガンダを信じるな」...ウクライナ戦争勃発後モスクワの政府系テレビ局のニュース番組に乱入し、反戦ポスターを掲げたロシア人女性、マリーナ・オフシャンニコワ。その日を境に彼女はロシア当局に徹底的に追い回され、近親者を含む国内多数派からの糾弾の対象となり、危険と隣り合わせの中ジャーナリズムの戦いに身を投じることになった。

 ロシアを代表するテレビ局のニュースディレクターとして何不自由ない生活を送っていた彼女が、人生の全てを投げ出して抗議行動に走った理由は一体何だったのか。

 長年政府系メディアでプロパガンダに加担せざるを得なかったオフシャンニコワが目の当たりにしてきたロシアメディアの「リアル」と、決死の国外脱出へ至るその後の戦いを、『2022年のモスクワで、反戦を訴える』(マリーナ・オフシャンニコワ著)より抜粋してお届けする。

 『2022年のモスクワで、反戦を訴える』連載第25回

 『「ロシアの英雄」が一転、孤立無援に…海外へ亡命した女性ジャーナリストを徐々に蝕んだロシア政府の「恐ろしすぎる手口」とは』より続く

 スマホのスクリーンには見覚えのないウクライナの電話番号があらわれた。

 「こんにちは。わたしはStrana.ua.のオレーシャ・メドヴェージェワといいます。あなたにインタビューしたいと思っています」

 これはチャンスだ。これで全部説明できる。そう思うと、若干気を取り直した。

 わたしはウクライナの敵ではない。これは間違いだ。誤解だ。すべてを彼らに話そう。そうすれば彼らにもクレムリンの汚い策動の犠牲だったことがわかってもらえるだろう。

 スカイプでインタビューに応じることになった。

 30分後に連絡音が鳴った。パソコンの画面は真っ暗だった。

 「そちらが見えませんが」わたしが言った。

 「動画は必要ありません。音声だけ録音します」

 心地よい女性の声が答えた。

 「わたしたちは文字のオンラインメディアですから」

 一時間にわたってすべての質問に率直に答えた。何日か経った。インタビューは出ない。ウクライナの番号に宛ててメッセージを書いた。

 「オレーシャ、インタビューはいつ出るのですか?」