「暗黙のルールが」TVだけじゃない!? 雑誌ライターや編集者が現場で感じた旧ジャニーズの〝激変〟

AI要約

旧ジャニーズ事務所が性加害を認めた後、状況は元さやに収まりつつある。

雑誌業界における旧ジャニーズタレントへの取材事情の変化に注目が集まっている。

旧ジャニーズ事務所の取材に関する暗黙のルールの消滅や、タレントたちのインタビューコメントの変化などが見られる。

「暗黙のルールが」TVだけじゃない!? 雑誌ライターや編集者が現場で感じた旧ジャニーズの〝激変〟

旧ジャニーズ事務所が、故・ジャニー喜多川氏による性加害を認めた昨年9月7日の衝撃の会見から7ヵ月以上が経過した。事務所名は変わり、被害者への補償も進められていると聞く。それによって某テレビ局は、課題への取り組みは「着実に進んでいる」として、旧ジャニーズタレントを再び積極的に起用し始めるなど、状況は元さやに収まりつつある。

果たして彼らは本当に変わったのか? 旧ジャニーズといえば、以前はネット上での活動を一切おこなわないなど、超アナログ組織として知られていた。それだけに彼らの主戦場はテレビと紙媒体である雑誌だった。

その一翼であるテレビは、「彼らは変わった」と言う。では雑誌業界のほうはどう感じているのだろうか? これまで旧ジャニーズタレントの取材記事を多く作り、今もSTARTO ENTERTAINMENT(旧ジャニーズタレントのマネジメントを請け負う新会社)のタレントの記事を作り続けている編集者、そしてライターたちに取材をおこなった。

すると面白いことに、ジャニーズという特殊な事務所ならではの取材事情の変化が、大きく3つ見えてきた。

まず1つが、掲載に関する暗黙のルールの消滅だ。

「同じ号にジャニーズ事務所内のタレントを複数出すときは、暗黙のルールがあった時代もありました。後輩タレントを先輩タレントより前のページに出してはいけない。さらに先輩より後輩のページ数が多くてはいけない、など。最近は緩くはなっていましたが、それゆえかつては、女性誌でジュニアのタレントを大きく扱うことは難しかったんですよね」(フリーエディター&ライター)

こんなエピソードも聞かれた。

「今は大人気グループに所属する某タレントがまだジュニアだったとき、その逸材ぶりに、いろんな女性誌が彼の特集を組みたがっていました。でも大抵どの女性誌のどの号も、デビュー組のタレントの誰かが出ているもの。あるとき取材を申し込んでみたのですが、『いやいや、●●が2ページなのにジュニアが4ページってあり得ないでしょ~』と相手にしてもらえませんでした。

そうこうしているうちに他のジュニアが頭角を現してきて、私たちも彼に興味を失っていった。今だったら彼は、もっといろいろと取り上げてもらえて大ブレイクしていたんじゃないかなと思います」(元女性誌編集者)

2つ目は、タレントたちのインタビューコメントの変化だ。

「旧ジャニーズタレントへの取材では、よく『尊敬する人は?』という質問をするんですね。事務所から教育されていたのか、タレントたち自身が空気を読んでいたのかは分かりませんが、今までは絶対に事務所内の先輩の名前しか挙げてこなかったんです。『木村拓哉さんのようになりたい』とか『嵐に憧れて事務所に入った』とか。

ところが最近は、平気でライバルのアイドルグループのメンバー名を挙げてくる。大丈夫だとは思うのですが、こちらのほうが心配で。事務所による原稿チェックのときに『このコメントは削除してください』と言われそうな気がして、『ちなみに先輩だったら誰?』と念のため聞いているほどです(苦笑)」(インタビューライター)

そして3つ目は、まさにそういったライバルグループとの共存だ。

「元SMAPメンバーへ圧力をかけた疑いが報じられた頃から変わってきましたが、かつてのジャニーズは、同じ号に他事務所の男性アイドルグループや、路線がかぶるような人が出ていたら登場してくれませんでした。事前に登場予定のタレントを聞いてきて、『ああ、その人が出るならダメ』となるんです。

そうなると同じ号に出せる男性は限られてくる。だから当時は、小栗旬さんとか岡田将生さんとかをやたらと取材していましたね。彼らは女性人気が高かったけれども、完全なる俳優枠でライバルとみなされませんでしたから」(フリーエディター)

それだけに、かつてを知る雑誌業界の人たちは、最近ある衝撃を受けたという。

「先日、某バラエティ番組を見ていたらジュニアのタレントたちが出ていて。びっくりしたのはその番組は、他事務所のアイドルグループのメンバーが、MCの1人を務めているんです。さすがにジュニアとがっつり絡むことはなかったですが、同じ雑誌に他事務所のアイドルを出せなかった時代を知っている身としては、感慨深かったですね。これは他の編集者やライターも言っていて、女性誌界隈ではちょっとした話題になったほどです」(別のインタビューライター)

どうやら旧ジャニーズ事務所が大きく変わってきているのは間違いないようだ。

だが、その一方で「まだまだWEB媒体での記事作りでは、写真や動画をあまり使わせてもらえないなどさまざまな制限がある」(WEBマガジンスタッフ)という声も耳に入ってきた。真価が問われるのはこれからだ。

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取材・文:奈々子

愛媛県出身。放送局勤務を経てフリーライターに。タレントのインタビュー、流行事象の分析記事を専門としており、連ドラ、話題の邦画のチェックは欠かさない。雑誌業界では有名な美人ライター