英誌も驚愕、日本特有のホストクラブという「搾取のカルト」──日本人は親密な関係を“商品”としてしか得られないのか?

AI要約

ホストクラブでは若い女性客が高額なツケを背負う悪質商法が問題となっている。日本の特有な現象であり、客は心理的な繋がりや逃避を求めている。

20代後半の日本人女性の未婚率が上昇しており、独身女性がホストクラブを訪れる理由は主に寂しさからである。ホストたちが一部セレブリティとなり、日本のポップカルチャーに影響を与えている。

初期のホストクラブは裕福な婦人や先立たれた女性向けのダンスホールとして始まり、徐々に偏見は薄れていった。現在も多くの人気ホストが存在し、ホスト業界は拡大している。

英誌も驚愕、日本特有のホストクラブという「搾取のカルト」──日本人は親密な関係を“商品”としてしか得られないのか?

若い女性客に高額な売掛金(ツケ)を不当に背負わせる悪質商法が問題視されているホストクラブ。日本特有のこの現象はなぜ起こってしまうのか、英誌「エコノミスト」が考察した。

東京の歓楽街、歌舞伎町で女性記者を取り囲むのは、4人の若い男たちだ。柊咲恋(25)は髪をブリーチして明るくし、黒のタンクトップ、シルバーのネックレスを身につけている。彼はシャンデリアの下でピンクのアイシャドウをきらめかせながら、温かくおしゃべりし、魅惑的な視線を送る。

彼の3人のアシスタントは、記者の焼酎グラスにお酒を注ぎ続け、彼女の容姿を褒めつづけている。彼女はそれらの言葉が本心からではないと理解しながらも、不思議と喜んでいる。1時間半後に受け取った会計は、3万円だった。

日本ではホストクラブがブームになっている。K-POPスターのようなメイクアップをし、着飾った約2万1000人の若い男性が、ホストとして900軒の店舗で働いているのだ。彼らは女性客を甘やかし、お世辞を言う。店舗でセックスが職務として行われることはないが、どこか別の場所でならありうるかもしれない。

客が求めるのは、肉体的なものよりも、たいていは心理的な繋がり、現実からの逃避だ。ホストは彼女たちを「姫」と呼び、年齢や職業を尋ねることはない。

ホストという「カルト」を理解するため、まず2つの統計を見てみよう。2020年の国勢調査では、20代後半の日本人女性の未婚率は60%以上と、1980年代半ばの2倍となっている。最近の調査では、20~49歳の未婚男女の3分の1以上が交際経験なしということが明らかになった。独身女性がホストクラブを訪れるのは、主に寂しいからだ。彼女たちは「日常生活では出会えないような男性」との出会いにスリルを感じているのだ、と柊は語る。

日本で初めてのホストクラブがオープンしたのは1960年代半ばだ。主に裕福な婦人や、夫に先立たれた女性のためのダンスホールだった。現存する最古のホストクラブ「愛本店」の経営者で、歌舞伎町ホスト協会会長の北条雄一によると、初期のホストたちは自分たちのことを「男芸者」と呼んでいた。ホストクラブは当初、はみ出し者によるいかがわしい商売と見られていたが、次第に偏見は薄れていった。

大成功したホストはいまやセレブリティだ。彼らは2000年代にはテレビ番組に出演するようになった。現在、多くの人気ホストにはソーシャルメディア上で数多くのフォロワーがいる。看板や広告トラックには高収入の人気ホストの写真が使われ、ホストは漫画やアニメのキャラクターとしても登場する。

豪マッコーリー大学上級講師の文化人類学者、トーマス・ボーディネットは、彼らは「日本のポップカルチャーの典型的なモデル」となっていると指摘する。

柊は有名なホストになることを夢見て地方から上京した。「華やかな世界の一員になりたかったのです」と彼は話す。