交流戦前にセ首位に立つ阪神を下柳剛が徹底分析!ケガ人を出さない理由から自身が体験した岡田流チームマネジメント術まで…「強さの秘訣」を解き明かす

AI要約

昨季の日本一を獲得した阪神タイガースが連覇に挑む様子や岡田監督の戦略について野球評論家・下柳剛氏が分析。

岡田監督の選手との接し方、リリーフ陣の組み立て方、そしてコンディショニングの秘訣についても紹介。

選手との距離を保ちながらも一日後に新聞で評価を知る選手へのアプローチや、リーグ優勝時のリリーフ陣の成功例についても触れる。

交流戦前にセ首位に立つ阪神を下柳剛が徹底分析!ケガ人を出さない理由から自身が体験した岡田流チームマネジメント術まで…「強さの秘訣」を解き明かす

 昨季、38年ぶりに悲願の日本一に輝いた阪神タイガースは今季、球団史上初の連覇に挑む。その戦いぶりを、2004~2008年の第一次岡田彰布政権下で先発投手として最も多くの勝利数を記録した野球評論家・下柳剛氏が分析。当時の経験を織り交ぜた確かな洞察力は阪神ファンならずとも必読だ。

 中編記事『【交流戦開幕】昨季は負け越し…強力パ・リーグ打線に岡田阪神自慢のリリーフ陣は立ち向かえるのか? 交流戦”を乗り切るポイントを下柳剛が緊急提言』では交流戦に向けて、チームが抱える現状の課題について解説した。

 さらに本稿では、岡田監督ならではの選手との接し方やチームの組み立て方、さらに大きなケガ人を出さないコンディショニングの秘訣についても詳報する。

 序盤戦のなかで触れたいのは、首位にいながらスタメンを大きく入れ替えたこと。岡田彰布監督の真意は、なによりも精神的刺激を与えたかったんだと思う。不調の大山に代えて4番に原口文仁を入れた試合があった(5月16日中日戦)。その試合で原口はホームランを打ったけど、次の試合から大山を4番に戻した。佐藤の2軍落ちも含めて、なんとか打線に刺激を入れようとしている工夫が見られる。

 岡田監督は選手に対して、あまり直接話さないタイプ。その代わりマスコミに詳しく話して、遠回しに選手本人に自分の考えを伝えるようにしている。選手は試合が終わった翌日、記事で自分の評価を知る。たしかに、試合が終わった直後の興奮状態で聞くより、一日経って落ち着いた状態で文章で読んだ方が理解できる点もあるかと思う。

 自分もそうだった。第1次岡田監督時代(2004~2008年)は金本知憲、矢野燿大、そして自分の3人がチーム最年長だったから与太話をすることはあったけど、野球に関する話を直接したことはほとんどなかった。そして登板翌日の記事で読むんだけど、たしかにそれで力が湧くことがあった。逆に余計に力んで打たれたこともあるけどね(笑)。

 リーグ優勝した2005年の時が代表的だったと思うけど、攻撃の時にほとんどサインを出してなかったんじゃないかな。それだけ打線が強力だったこともあるけど、選手とはほどよい距離間を保つのが岡田監督のやり方。プロとして選手の思考や意思を尊重している一方、プロなんだから自分で考えろという厳しさともいえるかもしれない。

 岡田監督の特徴としてはリリーフを組み立てるのがうまい。今もそうだし、2005年リーグ優勝時もJFK(ジェフ、藤川球児、久保田智之)を確立した。やっぱり守りの野球という形がハマっているのかもしれない。

 当時のことを思い出すと、2005年にリーグ優勝した当時の仲間が今のチームの裏方として活躍している。安藤、久保田が1軍投手コーチで、福原忍、江草仁貴が2軍投手コーチ。先に言ったようにジェフもスカウトとして活躍しているし……。当時阪神で一緒だったみんなが今のチームで投手を育てているのは、実に感慨深いね。