十両・遠藤 再入幕へ前進9連勝 復活へ被災故郷思い「精いっぱいやるだけ」

AI要約

遠藤が十両からの復活を果たし、9連勝で再入幕に向けて大きく前進。

幕内上位陣の値崩れの中、遠藤は安定した成績を続け、大きな人気を集める。

遠藤の復活劇は地道な努力と地元への思いが力になった。

十両・遠藤 再入幕へ前進9連勝 復活へ被災故郷思い「精いっぱいやるだけ」

 ◇大相撲夏場所9日目(2024年5月20日 両国国技館)

 約8年ぶりに十両に陥落した人気力士の遠藤が獅司との熱戦を制し、初日から無傷の9連勝を飾った。館内の大声援を受け、復活をアピールする強さを発揮。再入幕へ大きく前進した。幕内は1敗の小結・大の里、平幕・宝富士がそろって敗れ、大関・琴桜、平幕の御嶽海、湘南乃海を加えた5人が2敗で首位に並んだ。

 幕内上位が連日“値崩れ”する中で、遠藤だけは十両で“高値安定”を維持している。拍手、歓声は幕内後半をしのぐ断然の一番人気。この日も獅司相手に土俵を動き回る激しい攻防の末に上手出し投げで仕留め、館内を沸かせた。初日から白星を9個並べた33歳は「相撲を取った感じがしました。最後の流れとかは良かったんじゃないですか」と充実感をみなぎらせた。

 昨年九州場所から3場所連続5勝止まりで8年守っていた幕内の座を失った。もう遠藤は終わりか――。そんな声もささやかれる中、春巡業にも参加。その日できることを地道にこなした努力の成果を背水の陣で発揮した。石川県穴水町出身。能登半島地震で大きな被害を受けた故郷を勇気づける思いも発奮材料となり「精いっぱいやるだけ」と力をこめた。

 9勝目を挙げ、幕内復帰にも大きく前進。かつてスピード出世で騒がせた男の背中はいつになく大きく、「もうエンド(終わり)なんて言わせない」と訴えているようだった。