究極の決断…「禁断の移籍」、自身を「貪欲」と表現するシューターは、NBAで指導経験のあるHCのもとでさらなる成長を誓う

AI要約

男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)中地区の新加入選手、須田侑太郎(32)が特別なシーズンを迎える。

昨季まで名古屋Dに所属していた須田が、ライバルチームへの移籍を果たし、「禁断の移籍」と呼ばれる状況に直面する。

三河での新天地に向けた決断や若き指揮官との共闘、そして古巣名古屋Dとの対戦に注目が集まる。

究極の決断…「禁断の移籍」、自身を「貪欲」と表現するシューターは、NBAで指導経験のあるHCのもとでさらなる成長を誓う

◇記者コラム「Free Talking」

 男子プロバスケットボールBリーグ1部(B1)中地区の三河に今季新たに加わったシューターの須田侑太郎(32)にとって、特別なシーズンがもうすぐ始まる。

 スポーツ界には「禁断の移籍」という言葉がある。ライバル関係にあるチームへの移籍を指して使われるが、昨季まで名古屋Dに在籍した須田にも、それは当てはまる。

 昨季は名古屋Dの主将として先頭に立って声を出して仲間を鼓舞。ここぞの場面で武器の3点シュートを決めるなど初の地区優勝に貢献した。リーグきってのシューターはしかし、シーズン終了後に契約満了で退団。6月に三河への移籍を発表した際の「今回の決断は本当に本当に難しいものであり、これでもかというくらい考え抜きました」という談話には、同じ愛知県の天敵の元に新天地を求めるに至る葛藤がありありとうかがえた。

 退団、移籍発表から約3カ月。直接気持ちを聞こうと、26日に愛知県安城市で開かれた三河の新体制発表会見に向かった。「今季一番の補強」(佐古賢一チームディレクター)と期待を集める須田は、名古屋D時代の赤から黒に変わったユニホーム姿で登壇。背番号も昨季までの「11」から「13」になっていた。

 会見で移籍の経緯について質問すると、須田は吹っ切れた様子で言った。「ライアン(・リッチマン)ヘッドコーチの下でプレーしてみたい。いろいろ学んでみたいというのが、かなり大きかった」

 移籍の理由の一つに挙げたのが世界最高峰のNBAのウィザーズでアシスタントコーチを務めた経歴を持つ35歳の若き指揮官の存在だった。年を重ねてもチャレンジをいとわずに環境や立場を変え、成長への刺激とする。自身を「貪欲」と表現し、昨季は志願して主将を担った須田らしい考えだな、と合点がいった。

 今季から三河と同じ中地区に移行した名古屋Dとは、9月7日にドルフィンズアリーナでのプレシーズン大会で顔を合わせる。「禁断の移籍」でクラブを去った主将を古巣のファンはどう迎えるのか。温かい拍手か、それとも強烈なブーイングか。そこも、また見どころだ。(一般スポーツ担当・唐沢裕亮)