マクラーレンがノリスに再現を期待する、2013年シーズン後半。ベッテルが脅威の”夏休み明け9連勝”の衝撃

AI要約

マクラーレンのランド・ノリスが圧倒的な強さでF1オランダGPを制し、チームは彼のタイトル獲得可能性を示唆。それを支持する根拠として、セバスチャン・ベッテルの2013年の逆転劇が挙げられる。

ノリスはポールポジションからスタートし、フェルスタッペンをオーバーテイクして勝利。マクラーレンはコンストラクターズポイントで差を縮め、ノリスはドライバーズポイントでもフェルスタッペンを追う形。逆転は難しいが可能性は残されている。

過去のベッテルの例を引き合いに出し、2013年は序盤複数のドライバーが優勝を分け合う状況だったが、後半戦でベッテルが9連勝し、大差をつけてチャンピオンに輝いた。ノリスにも同様の独走劇が期待されている。

マクラーレンがノリスに再現を期待する、2013年シーズン後半。ベッテルが脅威の”夏休み明け9連勝”の衝撃

 先日行なわれたF1オランダGPを圧倒的な強さで勝利したマクラーレンのランド・ノリス。チームとしては、今季ノリスがタイトル獲得できる可能性は十分にあると考えているようだ。その根拠はセバスチャン・ベッテルは2013年に達成した脅威の記録にある。

 オランダGPでノリスは、予選でポールポジションを獲得。決勝ではスタート直後こそレッドブルのマックス・フェルスタッペンに先行されたが、その後方を余力を持ったまま追走していき、フェルスタッペンのペースが落ちたと見るやオーバーテイク。首位を奪い返した。

 その後タイヤを交換し、フェルスタッペンとの差を広げに広げていった。そして最終的には23秒ほどの差をつけてトップチェッカー。しかも、最終ラップにはファステストラップを記録するおまけつきで、余力を残しながらもフェルスタッペンを完膚なきまでに叩きのめしたことがわかると、その衝撃に拍車をかけた。

 この勝利でマクラーレンは、レッドブルとのコンストラクターズポイントの差を30にまで縮めることになった。一方ドライバーズポイントでは、ノリスはフェルスタッペンを70ポイント追いかける形。まだまだ差は大きいが、自力での逆転も不可能ではない状況であり、今回の勢いをもってすれば、それも不可能ではないようにも見える。

 この先全てのレースに勝つのは簡単なことではない。しかしマクラーレンのアンドレア・ステラ代表は、過去を振り返れば後半全勝しているドライバーもいたとして、ノリスの逆転でのチャンピオン獲得の可能性は十分に残っていると考えている。

 マクラーレンが言う”過去の事例”とは、2013年のセバスチャン・ベッテルのことだ。

 同シーズンの序盤は、まさに群雄割拠の状況だった。開幕戦では伏兵とも言えたロータスのキミ・ライコネンが優勝。ベッテルは第2戦マレーシアGPでシーズン最初の勝利を手にしたが、サマーブレイクに突入するまでに4勝しかできなかった。この他、当時フェラーリのドライバーだったフェルナンド・アロンソが2勝、メルセデスのニコ・ロズベルグ2勝、ルイス・ハミルトン1勝と、5人のドライバーが優勝を分け合う状況だった。

 第10戦ハンガリーGPが終わった時点では、ベッテルが172ポイント獲得でランキング首位に立っていたものの、ライコネンが次点で134ポイント、以下アロンソ133、ハミルトン124と、比較的僅差で続いていた。後半の展開次第では、誰がチャンピオンになってもおかしくはない……そんな展開だったのだ。

 しかしハンガリーGP後のサマーブレイクを挟み、ベルギーでシーズン後半戦がスタートすると、まさにベッテルの独演会状態となった。

 ベッテルはベルギーGPから、最終戦ブラジルGPまでの9戦全てで勝利。しかもそのうち6戦はポール・トゥ・ウインという破壊力を見せつけて他を圧倒。結局シーズン合計で397ポイントを稼ぎ、ランキング2位のアロンソに155ポイントもの大差をつけて、同年のチャンピオンに輝いたのだ。ベッテルはこれでドライバーズタイトル4連覇、そして結果的にこれが彼にとって最後のタイトル獲得となった。

 今回のオランダGPのノリスには、その当時のベッテルを彷彿とさせる強さがあった。ステラ代表が期待するように、ノリスは今季後半連勝し、ランキング首位をいくフェルスタッペンを差し切ることができるだろうか?