神奈川ダービーが示した「2つの強豪」復活の兆し(3)横浜FM「孤立しない」前線のトリオと「負傷が癒えた」トップ下、「攻撃参加」両サイドバック

AI要約

神奈川ダービーでは、川崎フロンターレと横浜F・マリノスが激突し、復活の兆しが見えた。

横浜FMは中盤を再編し、攻守のバランスを取り戻している。

両サイドバックの攻撃参加が横浜FMの攻撃力を高めており、試合展開に大きな影響を与えている。

神奈川ダービーが示した「2つの強豪」復活の兆し(3)横浜FM「孤立しない」前線のトリオと「負傷が癒えた」トップ下、「攻撃参加」両サイドバック

 J1リーグでは先週末、多くのダービーが開催された。中でも注目されたのが、川崎フロンターレと横浜F・マリノスによる神奈川ダービーだ。2017年からの6シーズン、J1タイトルを分け合ってきた2チームが激突したのだ。今季は苦戦が続いているが、このダービーでは復活の「兆し」が見えた。サッカージャーナリスト後藤健生が、両チームの変化の「胎動」に迫った!

 この川崎を破った横浜FMも完全復活間近だ。

 川崎戦では、畠中槙之輔とエドゥアルドがセンターバックに並び、サイドバックも右に松原健、左に永戸勝也というかつてのメンバーが顔をそろえた。

 ハリー・キューウェル監督は、中盤をアンカー1人にインサイドハーフ2人の逆三角形という、より攻撃的な形に変えて今シーズンに臨んだ。これによって、たしかに攻撃のバリエーションが増えるという効果はあったが、やはり守備的に不安定化。キューウェル監督解任後に昇格したジョン・ハッチンソン監督は、まずボランチを2人置く形に戻すところから着手し、今、横浜FMは喜田拓也と渡辺皓太が3列目に並ぶ形を採っている(川崎戦では喜田が出場停止だったので、山根陸が渡辺と組んだ)。

 そして、トップ下では、西村拓真の負傷が癒えて本格復帰を果たしたのが大きい。西村のコンディションも試合ごとに上がっているようで、前線のブラジル人トリオを強力にサポートしている。

 さらに、川崎戦では最終ラインに手慣れたメンバーがそろったこともあって、両サイドバックが非常に積極的に攻撃に関わった。

 サイドバックの攻撃参加はアンジェ・ポステコグルー監督(現トッテナム・ホットスパー監督)が横浜FMに持ち込んだ形で、当時は非常に斬新で画期的なものだったが、今ではサイドバックが2列目まで上がる形は、いくつものチームが実行している。

 しかし、さすがに横浜FM。川崎戦では右の松原、左の永田がサイドアタッカーのヤン・マテウスやエウベルを越えてタッチライン沿いにオーバーラップするだけでなく、インサイドハーフの位置で前線をサポートする場面を、キックオフ直後から繰り返していた。

 たとえば、前半17分に右サイドのヤン・マテウスが入れたボールにボックス内深い位置で山根が反応したチャンスがあったが、ヤン・マテウスにパスを付けたのはバイタルエリアにいた松原だった。

 後半、横浜FMがPKを獲得した場面でも、アンデルソン・ロペスにボールを入れたのはサイドバックの永戸だったし、2点目の場面でも右に開いた松原からのボールがつながって、西村のミドルシュートが生まれた。

 守備が安定し、ボランチ2人が中盤を締める中で、トップ下の西村が完全復活し、そして両サイドバックがインサイドハーフのポジションに上がって攻撃に加わる。