攻勢マクラーレンF1、本気出すのはこれから? シーズン後半に怒涛のアプデ連投へ「これまでの開発を“現金化”できる状態にある」

AI要約

マクラーレンは開幕から14戦で2勝をマークし、上位グループの中でも光る速さを見せている。サマーブレイク明けには新パーツの投入を予定しており、空力テストで培った開発を具現化する構え。

マクラーレンは定期的なアップデートよりも、サーキットに合わせたマイナーアップデートを行なってきた。これにより、後半戦に向けての大型アップデート投入を控えていると示唆されている。

マクラーレンはATPの割り当てが変更されたことで時間的制約が生じるが、シーズン前半の競争力を保持しつつ、新しいパーツ開発に焦点を当てる方針。シーズン後半には何度かアップデートが予定されている。

攻勢マクラーレンF1、本気出すのはこれから? シーズン後半に怒涛のアプデ連投へ「これまでの開発を“現金化”できる状態にある」

 マクラーレンは開幕から14戦で2勝をマークし、レッドブルやメルセデス、フェラーリといった上位グループの中でも光る速さを見せている。

 サマーブレイクまでマシンアップデートをあまり積極的に行なってこなかったマクラーレンだが、シーズン後半戦ではここまで空力テストで培われてきたモノを一気に新パーツとして具現化していくようだ。

 現代F1における空力テストレギュレーション(ATR)では、風洞の使用時間や数値流体力学(CFD)リソースの使用量を規定しており、各チームがそれぞれに制限を受ける。チームがどれだけ制限を受けるかどうかは、シーズン序盤は前年のコンストラクターズランキングに応じて決められ、6月30日以降は2024年の順位に合わせて変更される。

 マクラーレンは今年のマイアミGPで大型アップデートを行なったものの、その後は基本的にサーキットに合わせたマイナーアップデートのみを投入してきた。

 これは定期的にアップデートを持ち込んできたライバルに比べて、ATRの面でマクラーレンにアドバンテージがあり、サマーブレイク明けに新パーツの投入を控えていることを示唆している。

 シーズン後半に予定されているマクラーレンのアップデートの大部分は、シーズン前半に考案されたモノ。マクラーレンは2024年のアップデートスケジュールを確定させるだけでなく、2025年マシンに充てる時間も確保することができる。

 イモラとモナコ用に開発されたハイダウンフォース仕様のリヤウイングを除けば、マクラーレンのマイアミGP以降の通常アップデートは新しいフロントウイングだけだった。

「事実上、レッドブルはこれまでのところ、物理的なパーツ投入という点で、我々よりも多くの開発をコースサイドで行なっている」

 マクラーレンのアンドレア・ステラ代表はそう語った。

「私はマクラーレンのことに関してなら話すことができる。我々は今、これまでに培ってきた開発の一部を“現金化”できる状態にある」

「シーズン後半戦では、何度も新しいパーツを手にすることになると思う」

 ATRの割り当てが変更された6月30日に決勝レースが行なわれたオーストリアGP終了時点でランキング3位だったマクラーレンは、2ヵ月間の空力テスト期間(ATP)でそれぞれ256回の風洞走行が可能で、15m/s以上の風洞対気速度で64時間、風洞占有時間で320時間、CFDシミュレーションで1600個の新しいジオメトリを試すことができる。この変更を受けるATPは年末まで3回残されている。

 マクラーレンは昨年のランキング4位からポジションを上げたことで、今後は今年前半と比較するとATPが減少することになった。

 なお比較として、ランキング首位のレッドブルは224回の風洞走行ができ、、15m/s以上の風洞対気速度で56時間、風洞占有時間で280時間、ATPあたり1400個の新ジオメトリを使用できる。

 ステラ代表は、マクラーレンがシーズン序盤のアップデート計画を特に積極的に行なっていなかったことに同意し、チームが競争力を維持できていたことは「驚き」だったと明かした。

「マイアミ以降、サーキットに新しいパーツをあまり持ち込んでいないことを考えると、ある意味、これほど競争力を保てていることに驚いている」とステラ代表は語った。

「マイアミでのアップデートが大きかったということだ。もちろん、シーズン後半には何度かアップデートが来るだろう」

 アップデート開発に時間をかけることで、マクラーレンは理論上、アストンマーティンやRBが経験したような新パーツに伴う弊害を抑えることができる。RBはスペインGPで大型アップデートを投入したが、続くオーストリアGPとイギリスGPのフリー走行で一連の実験を行なった結果、不調の原因は新しいフロアのデザインにあることが判明していた。