松山英樹、劇的逆転で節目の米ツアー10勝目 賞金5億4000万円獲得し初の年間王者も現実味

AI要約

米国男子ゴルフツアーで松山英樹がフェデックス・セントジュード選手権で10勝目を達成し、プレーオフシリーズ初優勝を果たした。

松山は苦戦しながらも最終盤で逆転し、首位に立ち、年間王者争いでも3位に浮上。勝利に喜びを示し、盗難被害から巻き起こったトラブルも乗り越えた。

今季の好調を受けて、松山は次戦では元キャディーと再会し、年間王者への道を模索している。

松山英樹、劇的逆転で節目の米ツアー10勝目 賞金5億4000万円獲得し初の年間王者も現実味

<米国男子ゴルフツアー:プレーオフ第1戦 フェデックス・セントジュード選手権>◇最終日◇18日(日本時間19日)◇テネシー州メンフィス、TPCサウスウインド(7243ヤード、パー70)

 21年マスターズ王者で、パリ五輪銅メダルの松山英樹(32=LEXUS)が、節目の米ツアー10勝目を劇的にもぎ取った。

 4バーディー、2ボギー、1ダブルボギーの70とイーブンパーで回り、通算17アンダー、263。2位に5打差の首位から出て、一時は2位に後退したが、最終盤で再逆転した。2月のジェネシス招待以来、今季2勝目でプレーオフシリーズでは初優勝。賞金360万ドル(約5億4000万円)を獲得した。年間王者争いで8位から3位に浮上。初の年間王者も現実味を帯びてきた。

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 右手を力いっぱい握り締めた。苦しい中での会心の1打に、思いがあふれた。3人が首位で並んで迎えた17番パー4。「まっすぐかな?」。グリーンでラインを読む松山が語りかけたのは、いつもの相棒ではなかった。急造コンビを組んだ田渕大賀キャディーに「まっすぐです」と返され、自信を持って放った8メートルのバーディーパットは、カップに吸い込まれた。単独首位浮上。勢いに乗って18番パー4も第2打を1・5メートルにつけて、連続バーディー締め。大歓声で迎えられた。

 「苦しかった。(17番のパットは)無心で打ったら入った。やっぱり10勝目というのと、プレーオフで勝つことができて、本当にうれしかった」

 スタート時点からの5打リードは、2つ目のバーディーを奪った11番まで続いた。だが12番からの4ホールで4つも落とした。12、14番をボギーとし、15番はダブルボギー。一気に伸ばしてきた昨季年間王者のビクトル・ホブラン(ノルウェー)に首位を譲った。そのホブランも1つ落とし、今季メジャー2勝のザンダー・シャウフェレ(米国)との三つどもえの争いへ。それでもズルズルと後退せずに、むしろラストスパート。難敵2人を退けた。

 パリ五輪で銅メダルを獲得したが、米国に移動する経由のロンドンで盗難に遭った。松山は財布を盗まれたが、銅メダルは無事。ただ全試合バッグを担いできた早藤キャディーは、パスポートを盗まれ、帰国を余儀なくされた。そんな中で急きょ、英語もできる田渕キャディーに依頼し、快諾してもらい「予定を変更してまで来てくれて、それに応えられてよかった」と、サポートに感謝。盗難被害も「それがあったから勝てたんじゃないかなと、プラス思考でいきたい」と笑い飛ばした。被害額は不明だが、手にした優勝賞金は約5億4000万円。ジェネシス招待の約6億円に次ぐ2番目の高額となった。

 ポイントランク上位70人が出場したプレーオフ第1戦を制し、次戦は同50人による第2戦のBMW選手権(22日開幕)。さらに同30人による最終戦のツアー選手権(29日開幕)と続く。アジア勢初のマスターズ王者となった21年はその後、東京五輪でプレーオフに敗れて4位と、下降線をたどった。逆に今年は2月に、米男子ツアーでアジア勢単独最多の9勝目を挙げ、パリ五輪で銅メダル。五輪を含めた良い流れに「それはよかったなと思う。いいところも悪いところも出ているので、悪い部分を少なくしていきたい」と、上昇ムードを感じている。次戦は早藤キャディーが合流。年間王者への流れはきている。